アルプス電気がIT各社と相次ぎ協業を打ち出したワケ

IoTでビジネス機会うかがう

 アルプス電気がIT企業との距離を縮めている。あらゆるモノがネットにつながるモノのインターネット(IoT)市場の拡大を見据え、主力のセンサー開発・販売だけでなく、ITインフラやソフトウエア開発まで一貫提供できる体制を構築した。IoTの活用やビジネスを推進する企業への提案力を高める。IoT基盤を提供するIT企業とタッグを組むのは電子部品業界ではまだ珍しく先進的な取り組みだ。部品を単品売りする従来型のビジネスモデルから抜け出し、IoT分野で存在感を示せるか。

 アルプス電気は今月、日本IBM、日本ユニシス子会社のユニアデックス(東京都江東区)と相次いで協業を発表した。日本IBMとはセンサーが取得したデータを収集・管理するIoTに必要なITインフラの構築で連携する。アルプス電気がセンサー技術を日本IBMがクラウド技術を提供する。

 一方、ユニアデックスとはIoTサービス開発支援で協業する。顧客の要望に合わせ、ユニアデックスがソフトウエアやサービスを運用するための基盤システムを提供するとともに、アルプス電気が最適なセンサーの種類やセンサーの配置などを提案する。

 アルプス電気がIT企業と連携するのは、顧客のIoTビジネスに必要な要素技術を総合提案する新しいビジネスモデルを構築するためだ。提案力を高めて、着実に商機をつかむ狙いがある。

 モノづくりやサービスのあり方を根底から変えるといわれているIoTはモノの状態を測るセンサーと、センサーが集めた情報をクラウドなどのIT基盤で分析・運用することではじめて成立する。

 部品メーカーとIT企業が協力する体制を整えることで、顧客はIoTの工場での運用や農業管理などIoTを活用した新ビジネスをよりスムーズに始められる。さらに顧客を含めた3者が情報共有することで、アイデア実現に向けた技術のすり合わせもしやすい。顧客にとっては理にかなった連携であり、付加価値の高いビジネスの創出基盤となる。

 「センサーを多用するIoTは部品メーカーにとって商機の一つ。ただ、これまでのように部品だけを提供するだけで収益を上げるのは難しい分野だ」。アルプス電気の笹尾泰夫常務取締役はIT企業との協業をこう強調する。IoT事業に乗り出す企業が増える中、部品メーカーとIT企業の戦略的提携が活発化しそうだ。
(文=下氏香菜子)

日刊工業新聞2015年10月27日 電機・電子部品

明 豊

明 豊
10月28日
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アルプスは村田ほどの強い製品がなく、かといって半導体商社のような嗅覚を今時点で持っているわけではない。「総合提案」というのは聞こえはいいが、総合は何もできない事は得てして多い。IoTの組織体制がどうなっているか分からないが、独立した一定規模の部隊として、既存部隊と時にはぶつかるぐらいでないと、事業スケールは難しいだろう。

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