村田製作所は一日にして成らず(8)もう部品屋と言わせない

最終商品まで自ら企画

世代別に議論


 「肌診断サービスとは…」「犬の健康診断サービスについて…」。掲げられたテーマに対し、活発な議論が交わされる。村田製作所のある日の会議室。電子部品メーカーの会議内容としては程遠いトピックが次々に披露される。これは社長の村田恒夫が直轄するプロジェクト「世代別新商品企画」の一幕だ。

 同プロジェクトは約5年前から始まった。部署の垣根を越えて同年代の社員が集結。新商品・新規事業を企画し、顧客価値を再認識してもらうのが狙い。「業務時間の2割を割いて、社員がやりたいことをやらせている」と村田は説明する。

 「知見のない当社ではこうしたサービスに近い事業はできない」とこぼす村田。だが参加した社員は、端から実現不可能な提案をしたわけではない。例えば犬の健康診断。ペットにつける運動計は、自社の無線通信モジュールやセンサー類は主要部品となりうる。ここに同社の将来を見いだすことができる。

 スマートフォン向け部品で圧倒的な強さを誇る村田製作所。だが、一層の安定成長にはスマホに続く有力市場の開拓が不可欠となる。次の一手として自動車やヘルスケア、環境・エネルギーといった新規市場に全社を挙げて取り組んでいる。

 

健康に照準


 ヘルスケアに関しては未知の部分も多い。今は手探りで機会をうかがっている状態だ。村田も「まずは手持ちの製品で販売できるものを売っていく」と慎重な姿勢をみせる。ただ、高齢化社会の進行など、ヘルスケア関連の市場は確実に拡大。競合の部品各社も市場開拓を虎視眈々(たんたん)と狙っている。

 新規商品事業部事業部長で、執行役員の石野聡は「事業部としてヘルスケアに本腰を入れていく」と力を込める。体制整備の一環として、2013年10月に薬事法取得のための準備室を設置した。実際、部品をヘルスケア機器向けに販売するなら薬事承認は不要。「準備室を設けたのは、将来、自社で機器が完成できたときに必要になる」と石野は話す。

 現段階で村田製作所が機器やソリューションサービスまでを手がけるかは未知数。だが、他社に先がけて独創的な製品を出し続けてきた社風を考えれば、可能性は低くはない。同社が“部品屋”を越える日は果たして来るのか。(敬称略)

日刊工業新聞2014年02月27日 電機・電子部品・情報・通信

尾本 憲由

尾本 憲由
10月28日
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セットメーカーが必要な部品を部品メーカーに作らせるのではなく、部品メーカーの提案を基に最終商品ができあがる。「インテル入ってる」のパソコンの例を挙げるまでもなく、そんなビジネスモデルがもっともっと広がっていきそうだ。これを部品メーカーの台頭と見るか、それともセットメーカーの凋落と見るか。個人的には、国内の家電メーカーに往年の輝きを取り戻してもらいたいのだが。

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