FA業界にオープン化の波ーレッドオーシャンは避けられず

インダストリー4・0連載第二部#01 地殻変動はすでに始まっている。

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2015年のハノーバーメッセ会場。盛況なことがうかがえる
 「モノのインターネット(IoT)」技術を駆使して工場のシステムをさまざまに連携させ、製造業に新しい価値をもたらすドイツ発の新・産業革命「インダストリー4・0(I4・0)」。実用化が進めば、工場とそれを動かす工場自動化(FA)技術やそれを担う業界を一変させることは確実だ。だが標準化の動きは始まったばかりで、そのインパクトはまだわからない。I4・0で工場はどう変わるのか。ドイツ現地取材を交え紹介する。

 【イメージ先行】
 「最終的に、レッドオーシャン(血で血を洗うような激しい競争が繰り広げられる事業領域)になることは避けられないだろう」―。ドイツの有力FA機器メーカー、ベッコフオートメーションの日本法人(横浜市中区)社長を務める川野俊充氏の見立ては、FA業界にとって厳しいものだ。「しかし一方でユーザー側には、選択肢が増えるメリットがある」(川野氏)。

 現時点ではスローガンやイメージが先行し、技術的な中身がわかりにくいI4・0。要はFAの世界にも、インターネットのような標準化やオープン化の波が押し寄せていると考えればいい。「パソコンはドライバーソフトを入れればプリンターなどいろいろな機器がつながる。同じことがFAの世界で起きる」(川野氏)という。

 FA業界はこれまで、信頼性という高い壁に守られてオープン化の波を退けてきた。企業全体を支える基幹システムであるERP(統合業務システム)はオープン環境で稼働している。一方でその下位層にあって、個々の工場の生産現場の情報を管理する製造実行システム(MES)は、ERPとは自動連携していない場合がほとんどだ。

 【開発元が主導】
 さらにMESの下で動く、FAシステムの頭脳であるプログラマブルコントローラー(PLC)や、機器の動作を制御するモーションコントローラー、工作機械の数値制御(NC)装置、サーボモーターなどは、オープン性よりは信頼性や高速応答性を主眼に開発、利用されてきた。これらFA機器同士をつなぐネットワークも、一応はオープン規格とされるものの、実質的には開発元企業が中心となって運営してきた歴史がある。

 I4・0の実用化が進めば、それが変わる。まずはERPとMESが連携し、さらにはFA機器やFAネットワークも外部と連動できるようにならなければ「つながる工場」は実現できない。

 【大企業動く】
 川野社長はまず勝ち組なのは、オープン戦略を取る大企業、次に今後の成長が期待できるのが、小規模だがオープンな製品を持つ企業、もっとも危機にあるのが、クローズド戦略を取る大企業だという。「日本のFA業界でも、提携や買収が目立ってきた。これはオープン戦略により、大企業が勝ち組を目指す動きだと考えていい」(川野社長)。FA業界の地殻変動はすでに始まっている。
(次回は25日公開予定)

日刊工業新聞2015年10月20日1面

COMMENT

清水信彦
福山支局
支局長

 現在紙の新聞でも連載しておりますI4・0の記事です。(新聞も見てください)  この業界には優良企業がたくさんあり、ベッコフの川野社長のおっしゃるようなオープン化が本当に起こった場合、どうなるのか非常に興味があります。

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