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プロジェクションマッピングで臓器に切除線投影、手術精度向上

京都大学医学部付属病院とパナソニック、装置開発
プロジェクションマッピングで臓器に切除線投影、手術精度向上

リアルタイムに臓器の切除部位などの目印を投影できるMIPS

 京都大学医学部付属病院はパナソニックと共同で、プロジェクションマッピング技術を応用し臓器の変形を捉え、切除線などの目印を投影する「可視光投影装置(MIPS)」を開発した。近赤外光を当てると蛍光を発する色素「インドシアニングリーン(ICG)」を利用し、臓器の表面に目印や画像を直接投影できる。手術の精度を上げるナビゲーションシステムとして、2018年の実用化を目指す。

 MIPSでは、ICGを注入した肝臓を近赤外線カメラで撮影し、ICGが発光した位置にあわせてプロジェクションマッピング画像を投影する。カメラの撮影とプロジェクターの投影の時間差は0・1秒で、柔らかい臓器の変形にも即時に対応し、画像を正確に投影できる。

 ICGは乳がん手術で使われており、肝臓がんへの適用を目指し臨床研究が進められている。従来の3Dシミュレーションなどによる手術ナビゲーションでは、術中の臓器の変形に対応できないことや、切除部位の目印をモニター上でしか確認できないなど課題が多い。

 臓器に目印を直接投影することによって腫瘍切除の精度が向上。患者の負担軽減につながるとともに、経験が浅い医師でも施術が可能になる。
日刊工業新聞2015年10月22日 科学技術・大学面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
プロジェクションマッピングはアミューズメントのイメージが強いですが、最近では実用的な活用例も増えてきたように思います。短焦点や小型化など、プロジェクターの能力も向上しています。

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