「革新的衛星技術」の実証にJAXAのチャレンジ精神を見た!

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革新的衛星技術実証1号機の搭載イメージ(JAXA提供)

昨今、国内外問わず、民間を主体とした宇宙産業が活発になっている。宇宙機器産業に新たに参入し、国際的な競争力を有するためには「宇宙空間での実証」の実績が非常に重要である。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、民間企業や大学、研究機関などが開発した部品・機器、超小型衛星、キューブサットに対し、軌道上実証の機会を提供する「革新的衛星技術実証プログラム」を進めている。

本プログラムの第1弾である「革新的衛星技術実証1号機」は、公募により選定された七つの部品・機器を搭載した「小型実証衛星1号機(RAPIS―1)」、超小型衛星とキューブサット各3機の計7機で構成され、2019年1月にイプシロンロケット4号機で打ち上げられた。

JAXAが開発したRAPIS―1は、衛星としての基本機能を有する「バス系」、実証テーマ機器の実証の「ミッション系」を別々に有していることに特徴がある。ミッション系で不具合が起きてもバス系への影響を最低限にし、衛星の機能を喪失しない工夫をすることで、実証テーマ機器へのリスクヘッジを図った。

RAPIS―1は20年6月24日に運用を終了し、約1年間の短期間運用で七つの部品・機器のすべてのミッションのフルサクセスを達成した。日本独自の動作原理に基づく革新的FPGAの実証、X帯周波数での世界最高通信速度の実証、機械学習を活用したセンサーの世界初の技術実証など、今後の日本の宇宙産業の活性化が期待される成果が得られ、すでに複数のテーマが事業化に向けて動き出している。詳しくは11月5、6日にオンラインで開催する「革新的衛星技術ワークショップ2020」でもご紹介する予定なのでぜひご覧いただきたい。

続く2号機、3号機においても、先進的な実証テーマが選定されている。21年度打ち上げ予定の2号機では14の実証テーマを予定、初めて宇宙開発に参加する企業・教育機関も多い。特に、高知工業高等専門学校は10代の学生を主体にキューブサット開発に取り組んでおり、宇宙工学分野の裾野の広がりが期待される。

また「小型実証衛星2号機(RAISE―2)」は従来のJAXA衛星では前例のない約2年間の短期開発になるなど、多くのチャレンジが詰まっている。ぜひ注目していただきたい。また3号機についても5月に15の実証テーマを選定し、これから開発を進めていく予定である。

さらに「革新的衛星技術実証プログラム」では4号機以降も計画されている。新たな宇宙技術、異分野の企業などが宇宙にチャレンジする入り口として活用され、宇宙を使った新たな未来が開けることを期待したい。

(文=中村研悟)
◇研究開発部門革新的衛星技術実証グループ研究開発員 中村研悟 東京都出身。19年入社。現在、小型実証衛星1号機(RAPIS―1)の運用、同2号機の開発に従事。小型衛星のプロジェクトにやりがいを感じ日々邁(まい)進中。衛星開発を通し、宇宙産業の発展へ貢献したい。趣味はドライブとラーメン屋巡り。

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