東芝、胸をなで下ろす!?WDがサンディスク買収
フラッシュメモリー合弁「WDに買ってもらった方が・・」東芝幹部の本音
米サンディスクを買収したのは最終的にHDD最大手の米ウエスタン・デジタル(WD)だった。21日にWDが総額約190億ドル(2兆2800億円)で買収すると発表、東芝とサンディスクが手掛けるNAND型フラッシュメモリーの合弁事業も継続するという。サンディスクの身売り先としては、WDと半導体メモリー大手の米マイクロンの2社が有力候補に挙がっていたが、これで東芝も一安心!?
「いろいろな対応を検討しておかなければいけない」―。米サンディスクが身売りを検討しているとの米メディアの報道を受け、東芝幹部は身構える。東芝とサンディスクは、NAND型フラッシュメモリー事業で提携しており、新工場の投資を分担するなど特に生産面での関係は深い。サンディスクの行く先は、東芝のNANDフラッシュ事業戦略に大きな影響を与える。
東芝とサンディスクは2000年にNANDフラッシュ事業で提携。合弁会社(JV)を設立し四日市工場(三重県四日市市)を共同運営してきた。サンディスクの身売り報道に対し東芝幹部は「(サンディスクが)一方的にJVを解消できない契約になっているので、殊更慌ててはいない」と話す。サンディスクからJV解消などを打診されているかについては明らかにしなかったが、「いろいろな対応を検討していく」と語った。
サンディスクの買収には、米マイクロン・テクノロジーと、米ウェスタンデジタル(WD)の2社が興味を示しているという。マイクロンは、デジタル機器に欠かせないNANDフラッシュとDRAMの両方を手がける総合メモリーメーカー。エルピーダメモリを13年に買収し、DRAMでは業界3位の位置に付ける。一方のWDはハードディスク駆動装置(HDD)のトップメーカーだ。
業界ではサンディスクを取り込んだマイクロンと東芝が提携した場合、「おもしろい組み合わせ。理にかなっている」との声が上がる。
東芝は02年にDRAMから撤退し、NANDフラッシュに集中してきた。NANDフラッシュは同社全体の稼ぎ頭にまで育ったが、ここに来てDRAMを持たないことが弱点になりつつある。完成品メーカーからDRAMとNANDフラッシュをセットで求めるニーズが高まっており、技術開発を含め両事業を一体運営することがメモリーメーカーの競争力を高める一つの要因になっているからだ。
東芝も対策に動いており、14年から15年初頭にかけて台湾のDRAMメーカーである南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)との提携を探った。この計画は白紙に戻っており、DRAMの先端ノウハウや調達先をどう確保するかが、東芝の課題として残っている。
WDと組むメリットも少なくない。東芝は、NANDフラッシュを使った記憶装置であるソリッドステートドライブ(SSD)とHDDの双方を手がける利点を生かし、データセンター(DC)向けストレージ(外部記憶装置)事業の拡大を目指している。WDと組むことができればストレージの製品力は格段に高まる。
また東芝幹部は「HDDメーカーさん(WD)は、四日市工場のオペレーションに口出ししてこないだろう。その点ではHDDメーカーさんに(サンディスクを)買ってもらった方が良い」との見解も示した。
(文=後藤信之)
サンディスク身売り先「マイクロンとWD」東芝はどっちが組みやすい?
日刊工業新聞2015年10月19日
「いろいろな対応を検討しておかなければいけない」―。米サンディスクが身売りを検討しているとの米メディアの報道を受け、東芝幹部は身構える。東芝とサンディスクは、NAND型フラッシュメモリー事業で提携しており、新工場の投資を分担するなど特に生産面での関係は深い。サンディスクの行く先は、東芝のNANDフラッシュ事業戦略に大きな影響を与える。
東芝とサンディスクは2000年にNANDフラッシュ事業で提携。合弁会社(JV)を設立し四日市工場(三重県四日市市)を共同運営してきた。サンディスクの身売り報道に対し東芝幹部は「(サンディスクが)一方的にJVを解消できない契約になっているので、殊更慌ててはいない」と話す。サンディスクからJV解消などを打診されているかについては明らかにしなかったが、「いろいろな対応を検討していく」と語った。
サンディスクの買収には、米マイクロン・テクノロジーと、米ウェスタンデジタル(WD)の2社が興味を示しているという。マイクロンは、デジタル機器に欠かせないNANDフラッシュとDRAMの両方を手がける総合メモリーメーカー。エルピーダメモリを13年に買収し、DRAMでは業界3位の位置に付ける。一方のWDはハードディスク駆動装置(HDD)のトップメーカーだ。
台湾・南亜科技と幻の提携構想
業界ではサンディスクを取り込んだマイクロンと東芝が提携した場合、「おもしろい組み合わせ。理にかなっている」との声が上がる。
東芝は02年にDRAMから撤退し、NANDフラッシュに集中してきた。NANDフラッシュは同社全体の稼ぎ頭にまで育ったが、ここに来てDRAMを持たないことが弱点になりつつある。完成品メーカーからDRAMとNANDフラッシュをセットで求めるニーズが高まっており、技術開発を含め両事業を一体運営することがメモリーメーカーの競争力を高める一つの要因になっているからだ。
東芝も対策に動いており、14年から15年初頭にかけて台湾のDRAMメーカーである南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)との提携を探った。この計画は白紙に戻っており、DRAMの先端ノウハウや調達先をどう確保するかが、東芝の課題として残っている。
WDと組むメリットも少なくない。東芝は、NANDフラッシュを使った記憶装置であるソリッドステートドライブ(SSD)とHDDの双方を手がける利点を生かし、データセンター(DC)向けストレージ(外部記憶装置)事業の拡大を目指している。WDと組むことができればストレージの製品力は格段に高まる。
また東芝幹部は「HDDメーカーさん(WD)は、四日市工場のオペレーションに口出ししてこないだろう。その点ではHDDメーカーさんに(サンディスクを)買ってもらった方が良い」との見解も示した。
(文=後藤信之)