このピクトグラムは何?進化する案内用図記号

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カームダウン・クールダウンの表示の例

言葉や文字によらず、目で見て行きたいところへの案内を可能とする案内用図記号(=通称ピクトグラム)は、トイレやエレベーターなどがよく知られているが、時代のニーズに合わせ、新たな図記号が誕生している。

2019年7月、JIS Z8210(案内用図記号)が改正され、AEDの図記号が加わった。AEDはここ10年近くで全国に設置が広がったものの、実際の使用率はわずか5%未満だという。AEDは、救急隊や医師の到着を待たずに、居合わせた人が「すぐに」電気ショックを実施することが重要であり、「どこに」AEDが設置されているのか一目でわかる必要がある。これまでは各メーカーが独自のステッカーをAED設置場所に貼っているケースが多かった。JISへの追加を機に、現物だけでなくフロアマップ等にも使用されることを期待したい。

実際に講習を受けていないと、AEDの使用には勇気がいるかもしれない。AEDの設置場所を日頃から意識するだけでも、いざというときに役立つはずなので、ぜひこの図記号を覚えていただきたい。

AED(自動体外式除細動器)図記号

2020年4月から、多くの飲食店や施設が原則禁煙となった。全面禁煙の施設もあれば、紙巻たばこはダメだが加熱式たばこなら一定の条件のもと喫煙可能なスペースを設置する施設もあり、施設側には表示が義務付けられている。従来の「喫煙所」「禁煙」の図記号だけでは、ここ数年で国内に急速に普及した加熱式たばこを区別することはできないため、新たに「加熱式たばこ専用喫煙室」の図記号がJISに追加された。

加熱式たばこ専用喫煙室

2020年5月の改正でJIS Z8210(案内用図記号)に追加された図記号のうち、延期されたオリンピック・パラリンピック前に、ぜひ皆さんに覚えてほしいものがある。 それは「カームダウン・クールダウン」できる場所を示す図記号だ。

知的障害や発達障害などがある人は、人の多い場所や騒々しい場所、高温高湿の場所でパニックを起こすことがあり、周囲と遮断された静かなスペースで15分~20分ほど黙って過ごすことにより気持ちを落ち着かせることができる。そのためのスペースがカームダウン室であり、東京オリパラに向け建設された新国立競技場や有明アリーナにも複数カ所設けられている。誰でも使える休憩室ではないこと、カームダウン室を必要としている人がいることをぜひ知っておいてほしい。

カームダウン・クールダウン

他にも、高齢社会やジェンダーフリーなどの社会事情の変化に伴い、「介助用ベッド」や「男女共用お手洗」などの図記号も新たに追加された。

また、イクメンが増え、今まで女性専用のイメージが強かった授乳室(ベビーケアルーム)に男性も立ち入るようになり、女性が安心して授乳できるスペースの有無がわかる表示を希望する声がある一方で、男性もどこまで入って良いのかがわかる表示や、男性も使える授乳個室の表示が欲しいという声もあった。そこで、女性用、男女共用の授乳室図記号を新たに作り、男女双方にわかりやすい表示ができるようになった。

介助用ベッド(左)男女共用お手洗

今までも独自の表示をしている施設はあったが、JIS(日本産業規格)という国家規格になることで、統一された図記号の表示と普及が期待される。日本人だけでなく外国人にもわかりやすいピクトグラムの表示も、「おもてなし」の一つだろう。

※ 図は全てJIS Z8210より抜粋

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