「押印・書面廃止は本物だ!」企業情報管理大手、商談数7割増

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菅義偉首相が7日の規制改革推進会議で全ての行政手続きについて書面や押印を抜本的に見直すよう指示したことで、企業でも業務プロセスの直しが改めて注目を集めそうだ。コロナ禍によるリモートワークの普及で、押印のために出社せざるをえないなどのハンコ文化や紙文化の見直しの機運が高まっていたことも背景にある。企業情報管理(EIM)ベンダーの世界的大手であるオープンテキストの反町浩一郎社長に日本企業の取り組みの現状を聞いた。

ーコロナ禍では働き方を見直す動きが広まりました。リモートワークの導入も進みましたが、こうした取り組みは一時的なものでは終わりませんか。

「今回の日本のリモートワーク文化は本物だ。コロナ禍が1、2ヶ月で収束すればコロナ以前の姿に戻ったかもしれないが、長期化したことで多くの企業がそのためのツールを導入し始めている。『リモートでやっていける』と判断するケースが増えている」

ーどのようなツールですか。

「企業にはファイルサーバーや個々のパソコンにビジネスに必要な文書が散在している。契約書や請求書、受注書など紙の文書も多い。これらは『非構造化データ』と呼ばれ、体系立てて管理も活用もされていない。コロナ禍で、働く場所が制限されたことで、これらの管理、活用や新しい業務プロセスの構築が課題として多くの企業で浮かび上がった。当社では、非構造データを電子データで一元管理しながら、業務プロセスの改善を促す環境を提供している。当然、手作業でやっていた処理も電子化できる。企業業績の悪化で、設備投資を凍結する企業が多い中、当社全体の商談数は前年同期に比べて6ー7割増えている。欠かせない投資として検討してもらえているのだろう」

 

ー具体的に、企業のどのような部門からの相談が多いですか。

「これまでテレワークが難しいと考えられていた部署でのテレワークや電子契約対応の相談が増えている。経理や人事などは紙の管理が必要なため出社せざるをえない人が多かった。日本の会社の『お作法』はフィジカルを重視してきて、これをなかなかデジタル化できなかったが、コロナ禍で変わらざるをえなくなった」

ー日本企業のデジタル化の遅れを実感することも多いのでは。

「米国ではペーパレスという言葉を聞かなくなって久しい。もはや紙が前提ではないからだ。日本のIT化は欧米と比べると3年は遅い。(ただ、3年程度であれば)海外の事例が役立つはずだ。当社としては、海外で培った最先端の事例とノウハウを日本にいかに持ち込めるかが課題になる」

ー日本企業はデジタル化が遅れてきたが原因は。

「米国企業は自社で変革できる。一方、日本企業はIT部門が総じて弱く、大手ベンダーや協力企業に『お任せ』してきた歴史がある。ただ、日本の多くの経営者と話していても、日本の生産性の低さに危機感を募らせていることは間違いない。2020年代は日本のITが大きく刷新されると確信している」

聞き手・栗下直也

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