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2040年でも原油価格は1バレル=80ドル以下?需要伸び悩みシナリオ浮上

日本エネルギー経済研究所が動向調査公表、中国経済減速織り込む
 日本エネルギー経済研究所(東京都中央区)は20日発表した世界のエネルギー動向に関する見通しで、原油価格が従来の予想を下回り、2040年時点で1バレル=80ドル以下にとどまる可能性があるとの認識を示した。

 従来は40年時点で同125ドルに達すると見込んでいた。足元で原油安が続いていることや、イランの経済制裁解除に伴う原油輸出の増大、米国産シェールオイルの増産に伴う需給の緩みを織り込んだ。

 従来示していた「標準シナリオ」ではアジアをはじめとする世界経済の成長を背景に石油製品の需要が堅調に増え続けるほか、既存の油田の生産量が減るため生産コストが比較的高い油田の開発を進める必要性が高まることなどから、価格上昇圧力がかかると予想していた。

 今回示した「低価格シナリオ」では中国経済の減速などを織り込み、13年から40年にかけての世界経済の成長率を、実質国内総生産(GDP)で年率2・9%と想定。その上で省エネ技術の発達により、石油製品の需要が伸び悩むことも想定して推計した。

永里善彦氏(旭リサーチセンター常任顧問)の視点


GDPとエネルギー消費量に相関。「中国はもはや過去のような高度成長は期待できない」
 日本エネルギー経済研究所の分析のように、中国経済の減速が世界経済に様々な影響を与えだした。そもそも中国経済の実態はどうなっているのか。実は、10月22日の日刊工業新聞・国際面で「発電量減少で発電所が石炭を販売-中国」の見出しに続いて「国家統計局によると9月の発電量は前年同期比3.1%減少。1~9月では同0.1%増加した。電力使用量は同0.2%減少した」とある。

 過去の日本経済のGDP成長率をみてもエネルギー消費量とGDPには相関関係があり、いま中国で何が起こっているかはこれで想像できる。輸出主導の2次産業から内需主導の3次産業へと産業構造が移行しつつあるのだ。

 製造業よりもサービス業はエネルギー消費量が少なく生産性(付加価値)も低い。GDP成長率は鈍化せざるを得ない。エネルギー消費量の推移から中国経済の実態が透けて見える。もはや過去のような高成長は期待できない。
日刊工業新聞2015年10月21日 国際面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
そうなるかは置いとおて、自分たちのビジネスにどのような影響を及ぼすか。長期トレンドを足元の事業展開や技術開発にフォードバックしていくことが企業競争力に跳ね返ってくる。

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