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認知症の徘徊対策で「地域自律型ワイヤレス見守りシステム」

大阪市立大などが開発。10月末から堺市・泉北ニュータウンで実証実験
認知症の徘徊対策で「地域自律型ワイヤレス見守りシステム」

位置情報を知らせる小型の電波送信機

 大阪市立大学大学院工学研究科の辻岡哲夫准教授はヴァイタル・インフォメーション(東京都新宿区)と共同で、認知症患者の徘徊(はいかい)対策を支援する位置情報特定システムを開発した。患者が携帯する送信機からの電波を複数の基地局が受信し、位置情報を30―50メートルの誤差内で検出する。半径数キロの範囲をカバーする「地域自律型ワイヤレス見守りシステム」として、自治体などでの採用を目指す。

 位置情報を発信する電波送信機の大きさは、縦61ミリ×横43ミリ×厚さ11ミリメートルの手のひらに収まるサイズ。重さ22グラム。小型無線基地局も設置が容易で、一般家庭や病院、自治体での導入を見込む。

 基地局が送信機から送られてくる位置情報や健康管理情報を受信しサーバーに集約する。それらの情報を家族や自治体がインターネット上で見守ることができる。

 通信には920メガヘルツ帯の特定省電力無線を使用する。送信機から発信された電波を、周囲の三つの基地局が受信し、各地点からの距離を算出することで、位置情報を正確に割り出せる。

 価格は送信機と基地局1台ずつで5万円程度を想定している。今月末から堺市の泉北ニュータウンで実証実験を始める予定。
日刊工業新聞2015年10月20日 科学技術・大学面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
家族だけでは徘徊者対策は難しい面があり、地域などが協力できる体制ができれば。機器よりもその仕組みづくりが重要かと。

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