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中小企業の世代交代など背景に、コンサル社員大幅増―日本M&Aセンター

中小企業の世代交代など背景に
中小企業の世代交代など背景に、コンサル社員大幅増―日本M&Aセンター

三宅卓社長

**脱中国、ASEANシフト追い風
 中堅・中小企業のM&A(合併・買収)仲介・コンサルティングを手がける日本M&Aセンターは、国内外の案件増に対応するため、コンサルタント社員の採用を増やす。2010年3月末に71人だったコンサルタント社員は、5年かけて現在までに約160人まで増員。今後はペースを加速し、16年3月末に約180人、17年3月末をめどに約220人まで拡大する。合わせて社員教育期間の短縮にも挑戦。社員の即戦力化を進める方針だ。

 国内では経営者層の高齢化による中堅・中小企業の事業承継問題が、海外では製造業の“脱中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)シフト”が追い風となり、事業規模・領域は拡大。「案件が多く人手が足りない」(三宅卓)状態が続いている。
 中途採用を中心に人員を増やし、案件増に対応する。海外市場は今後一層の伸びが期待できるため、現在2人の海外専門人員を、16年初頭には3人体制にする方針だ。

 人員増と並行し、社員教育にかかる期間の短縮にも取り組む。これまでは入社から一人前になるまで約450日かかっていたが、教育プログラムを工夫することで約300日まで短縮することを目指す。

 **インタビュー/三宅卓社長「零細企業サポートに力」
 ―中堅・中小M&A市場が拡大しています。今後の戦略は。
 「中堅・中小企業のM&A支援で事業を成長させてきたが、今後はマルチブランド化で大企業や零細企業のM&Aも手がけていきたい。特に零細企業に対しては、専門のマッチングサイトを立ち上げた。マッチングから契約締結までを簡素化したシステムで、すでに30件ほど成約させている」

 ―海外でも日系中小企業のM&Aが増えています。
 「中国では現地からの撤退を目的としたM&Aが、ASEANでは進出を目的としたM&Aが増えている。案件が多いのはASEANだ。ASEAN経済共同体発足でさらなる案件増も期待できるため、当社としても力を入れていく」

 ―現地での支店開設を予定しているそうですが。
 「16年3月末までにシンガポールに支店を作る予定。支店を通じ、現地の金融機関や会計事務所、弁護士事務所とネットワークを構築する。将来は日系企業同士だけでなく、現地企業とのクロスボーダーM&Aも手がける」
 「ASEANには大規模M&Aを手がける市場はあるが、中小M&Aを仲介する市場はなく、真空地帯だ。当社はASEANのM&Aプラットフォームとなりたい」
(聞き手=鳥羽田継之)
日刊工業新聞2015年10月16日 金融面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
世代交代期を迎えた中小企業にとって大きな課題となっているのが、親族以外への事業承継です。国も事業承継税制の拡充に加え、「事業引継ぎ支援センター」の整備など施策強化を図っています。日本M&Aセンターのような民間の果たす役割もますます重要になっています。

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