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国内生産は戻るのか。ホンダ社長「軽自動車の競争は激しく簡単に伸びない」

八郷氏インタビュー。16年度は80万台超を計画
国内生産は戻るのか。ホンダ社長「軽自動車の競争は激しく簡単に伸びない」

八郷社長と欧州向け「フィット」を移管した寄居工場(埼玉県)

 ホンダの八郷隆弘社長は日刊工業新聞社のインタビューに応じ、2016年度の4輪国内生産を、年80万台超とする方針を明らかにした。15年度計画に続き低水準が続くことになる。「国内市場の環境が悪く輸出モデルも簡単に増やせない」と厳しい見通しを示した。
 
 ホンダの国内生産は1年前の消費増税の駆け込み需要の反動や販売不振で、競合他社よりも落ち込みが目立っている。国内からの輸出を減らしたことも国内生産の足を引っ張っており、対策として今夏から輸出モデルの生産を始めた。
 
 八郷社長は「来期の国内販売計画はこれから決めるが、輸出モデルの生産増が年度を通して効いたとしても、80万台超を確保できたらいい」との見通しを示した。17年度以降についても、軽自動車の全面改良で生産増の効果が期待されるが、「軽自動車の競争は激しく簡単に生産は伸びない。当面は80万台強を維持したい」と述べた。
 
 ホンダは世界で年560万台の生産能力を持ち、今期の世界販売計画が470万台。生産能力の過剰は国内だけでなくグローバル規模の課題だ。「生産と販売の乖離(かいり)を埋めるには4―5年はかかる」とも述べ、グローバルの生産能力を地域間で補完する方針を改めて示した。
(文=池田勝敏)

今年度の国内販売を下方修正「72.5万台」


日刊工業新聞2015年9月17日付


 ホンダは2015年度の4輪車の国内販売計画を、期初当初と比べ6%減の72万5000台に引き下げる。市場の低迷や新型車の不振で8月までの販売の落ち込みが大きい上に、販売台数を稼ぐことができる新型車の発売計画もないため下方修正する。国内生産は海外モデルを生産することで計画を維持する方針。
 
 2月に発売したミニバン「ジェイド」、昨年末に発売した小型セダン「グレイス」の販売が想定を下回っており、登録車を中心に読み違いが生じた。4月時点では15年度の販売計画を前期比2%減の77万台としていたが、4―8月の販売台数は前年同期比14%減の26万3000台と減少幅が大きかった。
 
 市場全体は軽自動車税の増税の影響などで4―8月は前年同期比5%減の185万台となっている。国内生産については、欧米向け小型車「フィット」の生産を現地から寄居工場(埼玉県寄居町)に移管することで、4月時点の計画を維持する方針だ。フィットの移管による生産量は15年度で7万4000台にのぼる。15年度の国内生産の計画値は明らかにしていないが、83万台程度とみられる。

日産は17―18年に110万台へ


日刊工業新聞2015年7月10日付


 日産自動車の西川廣人チーフコンペティティブオフィサー(CCO)兼副会長は9日、福岡県内で記者団の取材に応じ、2017―18年に年間の国内生産が110万台になるとの見通しを明らかにした。国内向けの小型車や輸出モデルで生産を増やしたい考え。また日産の国内生産能力が最大119万台あることも明らかにした。
 
 年間の国内生産台数について、「14年度実績の約90万台から110万台になる計画が現在進行しており、17―18年にその水準になる」との見通しを示した。「国内向けモデルの生産が増えて、輸出モデルが作りきれないのが理想だが、その時に国内向けと輸出モデルがどんな配分になるかは未定」と述べた。
 
 同日、北米向けSUV「ローグ(日本名エクストレイル)」を、来春から九州工場で年10万台規模で生産を始めると発表。「北米向け以外の輸出モデルを国内で生産することもあり得る」と述べた。国内向けモデルについては「小型車『ノート』の存在感を高めたい」と話し、商品力を強化して増産につなげたい考えを示した。
日刊工業新聞2015年10月19日 自動車面記事から一部抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
地産地消の最適化は今年就任した八郷社長の最大の経営課題。日本だけの問題でもなく、ホンダだけの(サプライヤーを含む)問題でもなく、生産だけの問題でもない。短期的にみれば今年度の国内生産(当初計画)83万台は36年ぶりの低水準だが、応急措置だけで回復するものではない。根底には売れるクルマをどう生み出すかという大命題がある。

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