豪雨での水没に一台一本、車脱出ハンマー出荷増
ワイピーシステム(埼玉県所沢市、吉田英夫社長、04・2968・5700)の自動車用脱出ハンマーが出荷を伸ばしている。先端の突起部で窓ガラスを割って脱出でき、シートベルトを切るカッターを備え、さらに簡易消火器になる1台3役の機能を持つ。豪雨で冠水・水没した自動車に閉じ込められる事故が増えており、国土交通省などでも台風シーズンに備え1台に1本の配備を呼び掛けている。
ワイピーシステムではハンマーの足元の出荷量が前年同期比1・6倍で推移。コロナ禍で自動車販売がほぼ止まり、自動車販売店向けが壊滅的打撃を受けたが「農協や生協ルートが伸び、5月は農協向けが最多になった。最近は百貨店の外商ルートも出てきた」(吉田社長)という。
さらにレンタカー・カーリースや自動車教習所、物流会社などへの出荷が始まり「先日は警察車両への説明も終えたばかり」(同)と新たな販路を開拓中だ。
昨秋の台風19号では死亡者の約3割が車中の水難事故で犠牲になった。今年の7月豪雨でも被災者が出たことを重く見た国交省では「『命綱』として1台に1本、備え付けを―」と呼びかけている。(川越)
日刊工業新聞2020年9月4日