「国が未来の進化を自分で止めている」、次期政権は市場の声にどう応えるのか?

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退陣表明をした安倍首相、マーケットは次第に落ち着く?

28日の東京株式市場で、日経平均は急落した。安倍晋三首相の辞任意向が伝わり、一時前日比614円安まで下落。その後、下げ渋ったものの不安定な動きが続き、326円安の2万2882円で大引けを迎えた。

午後5時から会見した安倍首相は「国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断した。総理大臣の職を辞する」と正式表明した。

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志田義寧
北陸大
准教授兼ジャーナリスト

安倍首相が推進してきた経済政策「アベノミクス」は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を掲げてきた。しかし、存在感を示したのは金融政策だけで、成長戦略は不発だった。成長戦略を支える規制緩和も遅々として進んでいない。金融政策も存在感はあったが、7年経っても物価目標2%を達成できないでいる。成功だったとは決して言えない。それでもアベノミクスが全体として評価されていたのは、円安・株高という流動性相場を演出してきたためだ。日経平均は政権交代期待が高まった12年11月から2.6倍に上昇、ドル/円は80円から一時124円まで円安方向に振れた。それが突然の辞任表明。はしごを外された格好のマーケットに動揺が走るのは当然だ。ただ、次期政権がアベノミクスを大きく軌道修正するとは思えない。今後も「市場の声」に配慮した政策運営になるのではないか。そうであるならば、マーケットは次第に落ち着きを取り戻すだろう。次期政権がやるべきことははっきりしている。アベノミクスで実現できなかった生産性を引き上げ、潜在成長率を高めることだ。そのためにはデジタル化とともに、規制緩和を進める必要がある。筆者には忘れられない講演がある。2年前、ソフトバンクグループの孫正義社長が都内で行った講演だ。日本でライドシェア(相乗り)サービスが禁止されていることについて、孫社長は「過去を守りたい、未来を否定する、考えられない状況だ」と痛烈に批判。「国が未来の進化を自分で止めている」と現状を嘆いた。企業の成長なくして、国の成長はない。次期政権は大胆に規制緩和を進めて欲しい。

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