浜松のIT企業がベトナム産チョコレートを販売する理由

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輸入販売するベトナム産チョコレートとドァン・ミン・グェット・ハンさん

シーポイントはウェブサイト構築をはじめとするIT事業を軸に、高精度位置情報システム開発、電動バイク製造と幅広い事業を展開する。地盤の浜松市から事業エリアの拡大も進めており、沖縄県のほか、アジア各国にも拠点を構える。ベトナムでは日本語学校などを運営。それをきっかけに現地産チョコレートの輸入販売にも乗り出した。

【現状を知る】

「進出した地域で、もうかる産業を生み出し活性化につなげたい」。シーポイントの野沢浩樹社長はエリア拡大に対する思いをこう強調する。ベトナムのチョコレート事業は、それを象徴する。

質の高さから注目されるベトナム産カカオ。現地で良質なチョコレートもつくられている。野沢社長は「日本でも売りたい」と目を付け、バリア・ブンタウ省のチョコレートメーカーに声をかけた。そこで地域のカカオ農家の現状を知ることになる。

野沢浩樹社長

農家は栽培したカカオ豆の多くを輸出しており、需要に反して価格を上げられず利益が上がりにくい構造となっていた。それを聞き野沢社長の使命感が燃えた。カカオ豆を地域内のメーカーに供給しチョコレートに加工すれば適正価格での取引が可能となる。そして、そのチョコレートの販売が伸びれば地域全体の活性化が図れる。

【専門会社設立】

同省のメーカーと、そこがつくる「バプラチョコレート」の独占販売契約を交わし、2019年12月に輸入販売を始めた。20年5月には専門会社「ノネット」(浜松市中区)を設立。事業はベトナム人のドァン・ミン・グェット・ハンさんが中心となるようサポートしながら進めている。

またベトナム産カカオと浜松市の企業との連携による菓子の展開も始めた。茶葉を扱う静稜(浜松市東区)と、菓子製造のドリアン洋菓子店(同)に呼びかけ、新ブランド「貴人(あてびと)のたしなみ」を立ち上げた。第1弾としてカカオ味や挽(ひ)き茶味などのプリンとドーナツを共同開発し、浜松市内で販売を始めた。「全国展開も目指す」(野沢社長)と意気込む。

今後、ベトナムの契約農家に対し、IT化や機械化などの技術支援も行う考え。「地域に必要とされる会社になりたい」と野沢社長。枠にとらわれない事業でエリアを広げる。(取材=浜松・岩崎左恵)

【企業プロフィル】 ▽所在地=浜松市中区富塚町1933の1▽売上高=2億円(19年6月期)▽設立=96年(平8)11月

日刊工業新聞2020年8月10日

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