三菱化学が植物工場野菜の生産販売に乗り出す理由とは?

設計、栽培指導から収穫物の販売まで一貫して顧客に提供

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10日に発売したキュアリーフ
 三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の三菱化学が自社の植物工場で作ったベビーリーフ「キュアリーフ」の販売に乗り出す。植物工場設備だけでなく、収穫野菜の販売も手がけることで設計、栽培指導から収穫物の販売まで一貫して顧客に提供できる体制を築く狙いだ。三菱ケミカルHDの小林喜光会長が提唱するモノづくりとサービスを融合した“モノがたりづくり”の成功事例となるか。

 **ノウハウ蓄積し顧客に提供
 「植物工場を研究するだけではなく、自ら生産・販売することで野菜販売のノウハウを蓄積したい」。三菱化学の和賀昌之常務執行役員はキュアリーフ販売の狙いをこう説明する。製品メーカーへの原料供給や生産システム販売が主流の化学メーカーが、なぜ植物工場産の野菜販売を始めたのか。

 神奈川県小田原市の自社事業所内に建設した植物工場産ベビーリーフは、同県内のスーパーや百貨店、レストラン、ホテル、学校給食などへ販売する。この販売ノウハウを生かし「販売に関する具体的な課題を植物工場に興味を持つ顧客に提供する」(和賀常務)。

 また、これまで顧客の多くが野菜販売の採算性調査を行ってから植物工場を建設したい意向を示していた。こうした顧客向けの野菜を自社工場から提供することで「顧客のビジネスをより確実なものにする」(同)。単なる植物工場の販売だけでなく、収穫物の販路開拓を含めた一括サービスで植物工場ビジネスを強化する狙いだ。

 販路確保に向けた一手も打った。神奈川県の「ME―BYO(未病)ブランド」に小田原市の植物工場が選ばれたことだ。神奈川県は、病気でもなく健康でもない未病を改善する商品・サービスの魅力を広げることで県民の健康向上につなげようと、同ブランドを5月に設定している。

 **同じ品質の野菜提供可能
 LEDや水耕栽培システムを用いた三菱化学の植物工場産野菜は気温、湿度、養分が徹底管理され、気候に左右されず年間を通じて同じ品質の野菜を収穫可能。一般の野菜に比べビタミンA、カリウム、葉酸などの栄養素を多く含む。三菱ケミカルグループ会社が運営する自己採血を用いた健康検査サービス「じぶんからだクラブ」が提供する食事メニューの食材に活用できることも、ブランド認定の決め手となった。

 このため、キュアリーフのパッケージに同ブランドのロゴを表示でき、神奈川県での販売に追い風となる。キュアリーフは複数のベビーリーフ3―4種を組み合わせて袋詰めした商品。成長促進や美肌効果があるビタミンA、胎児の発育に不可欠な葉酸、辛味があり酒のつまみに最適な3種を10日に発売した。

 **欧米並み収益力目指す
 三菱ケミカルHDは基礎化学品事業の再編を進める一方、高付加価値な機能化学品事業を強化することで欧米化学大手並みの収益力を目指している。食料増産や健康維持につながる植物工場事業を次世代の収益源にするためにも”モノがたりづくり“を意識した今回のビジネス成功がカギを握りそうだ。
(文=水嶋真人)
 

日刊工業新聞2015年10月14日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

付加価値をつけ、ブランド認定してその価値をわかりやすく顧客に広められるのは大きな強みです。トクホなどが盛り上がりをみせているので、この波に乗って植物工場産野菜も注目されるかも。

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