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沖縄科技大が知財と商業化のギャップを埋める新手法

海外で主流のPOC(プルーフ・オブ・コンセプト)プログラムを導入
沖縄科技大が知財と商業化のギャップを埋める新手法

微生物燃料電池の開発の様子(OIST/ギンター)

 沖縄科学技術大学院大学は、外部専門家による実地指導などで実効性を高めた独自の研究資金供給制度「OISTプルーフ・オブ・コンセプト(POC)プログラム」を導入、保有特許の事業化を促進する。基礎研究が多く事業化しにくい課題を解決し、沖縄の自立的発展に貢献するのが狙い。知的財産と商業化において「技術面および資金面のギャップへの橋渡し」(同大)を行う。

 研究テーマについては学内で公募し、審査して決める。研究期間は12―18カ月間、1件当たり500万―1000万円の資金を提供する。すでに企業と共同研究しているケースや、技術移転が決まっている案件は対象外。POCで事業化に近づけることに主眼を置く。

 沖縄科学技術大学院大学は自然科学分野の専門大学という特性があり、学内で経営的視点や市場性に関する知見を得にくい。そこでPOCでは「メンター」と呼ぶ国内外の専門家を指導役になってもらうほか、起業家精神を養う教育プログラムを実施することで補完する。

 POCは米マサチューセッツ工科大学など海外で主流だが、研究資金の拠出が一般的という。今回のPOCプログラムは約2年間を試験運用とし、成果に応じて存廃を検討する。

 2015年度は、「低価格太陽電池の製作」「ナノワイヤ技術を用いた高性能ガスセンサー」「アルツハイマー病の治療のためのペプチド」「廃水処理のための微生物燃料電池」「生体医学グレードセルロースの生体外合成」の5テーマを採択。12月ごろに再度募集する。
日刊工業新聞2015年10月14日 科学技術・大学面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
地域と大学との関係では研究の「成果」として、事業化など目に見えやすい事例が求められます。11月で設立4周年となる沖縄科技大(OIST)には、そのような結果を求める声も出始めており、このプログラムはその「成果」を生み出すためのものだと言えます。

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