キャニコムの造林作業車、山の整備で土砂崩れを防止

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防災関連の展示会でも「山もっとジョージ」をアピール

キャニコム(福岡県うきは市、包行良光社長、0943・75・2195)は、林業の造林に特化した作業車「山もっとジョージ」を2019年に発売した。造林では機械の活用が進んでいないほか、人手に頼るにも重労働だ。機械化によって作業負担が軽減され、林業の担い手確保につながると期待する。

現場の声形に

こうした現場の声を吸い上げて課題解決のため形にしたのが同作業車だ。ネーミングには「もっと山を大切に」という包行均会長の思いを込めた。開発に携わった中村公徳専務は「豪雨の際の土砂崩れや流木による災害は、山の整備が行われていないことが主な原因」と指摘する。

日本の国土で森林が占める割合は66%、約2500万ヘクタールに及ぶ。うち約1000万ヘクタールは戦後の国策で進められた植林による人工林。現在、その人工林は収穫に適した時期にある。だが「収穫後の再造林は防災のためにも不可欠。しかし、重労働である上、すぐにお金にならず機械化も進んでいないため担い手がなかなか定着しない」(中村専務)という。

キャニコムは1970年代後半から林業用運搬車を販売してきた。東日本大震災の復旧では発電機付きエンジンを搭載した運搬車が被災地で活躍した。また、現場の声を製品に反映させる同社の姿勢や実績から、造林用の新しい作業車開発の要望が次第に高まった。そして16年に北海道造林協会(札幌市中央区)から要請を受けたことが同作業車開発のきっかけとなる。同社の開発チームは急斜面対応の草刈り機を携えて全国を行脚した。各地で造林作業の実証や実演を行い、現場の要望に耳を傾けた。

後の人のために

山もっとジョージの開発では「後の世のために、後の人のためにという戦国武将、加藤清正の言葉をコンセプトに掲げた。これはキャニコムに流れるモノづくりのDNAに通じる」(中村専務)としている。

同作業車は下刈り作業を妨げる切り株を粉砕し、残材集材、運搬などのアタッチメントを装着することで複数の機能に対応する。粉砕するローラーに装着した刃はダイヤ型なので摩耗したら90度回転させて計4回使えるなど独自機能を盛り込んだ。全くの新分野の開発だったため発売までに3年かかった。

西村峰利副社長は「販売実績は2ケタ台にのった。全国の自治体や森林組合からの問い合わせも増えている」と強調する。

また、林野庁は20年度に同作業車を導入する場合、費用の3分の1を補助する対象とした。6月には建設機械のレンタル会社によるレンタルも開始。長野県内の森林組合は若手の造林作業用にレンタル導入を進める。西村副社長は「造林作業の軽労働化は若者の林業への定着にもつながることが期待できる」と話す。導入して1年目に切り株を粉砕し、造林での作業効率を実感できるのは2年目以降。「使ってもらって効率や効果が目に見えてくれば、おのずと販売台数は増えてくる」(同)と自信を見せる。(九州中央・勝谷聡)

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