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次期「プリウス」はどこまで進化したか

トヨタ、自信の新技術を公開
次期「プリウス」はどこまで進化したか

新型プリウス技術説明会で公開した新型プリウスのカットモデル

 トヨタ自動車は13日、約6年半ぶりに全面改良したハイブリッド車(HV)「プリウス」の新モデルに採用した先進技術を公開した。環境性能は開発初期からJC08モード燃費1リットル当たり40キロメートルを目指し、ハイブリッドシステム「THSII」やエンジンなどを改良した。環境だけでなく設計改革「TNGA」に基づき走行性能も高めた。
 
 豊島浩二製品企画本部チーフエンジニア(CE)は「ハイブリッド技術の底上げはプリウスの役目」と強調した。ハイブリッドシステムは動力分割機構に遊星歯車を使うTHSIIをベースに高効率化、小型軽量化を図った。「THSIIの無駄をいかに省くかにかなりの力を費やした」(伏木俊介HVシステム開発統括部主幹)という。

 トランスアクスルはモーターやギアの配置を変更し、全長を47ミリメートル短縮しつつ約20%の機械損失を低減した。モーターやパワーコントロールユニット(PCU)もそれぞれ小型軽量化し、約20%の損失低減を実現した。

 駆動用バッテリーにはリチウムイオン電池を新たに採用。現行プリウスに搭載しているニッケル水素電池も10%小型化と充電性能28%向上を果たした。ニッケル技術を底上げしつつ「リチウムも手の内化する」(豊島CE)狙いだ。

 エンジンは現行の排気量1800cc直列4気筒「2ZR―FXE」を改良。燃焼改善のほか2系統冷却システムをトヨタとして初採用し、最大熱効率を現行比1・5ポイント増の40%にした。

 エコカー競争が激化している中、新型プリウスは環境性能だけでなく“走りの良さ”を訴求する。TNGAにより新開発した新構造骨格によりボディーのねじり剛性を約60%向上。レーザー接合や高強度、軽量化が図れるホットスタンプ材を多用するなどし走行安定性能を高めた。
日刊工業新聞2015年10月14日 自動車面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ニッケルとリチウムを両方使っていくというのは実にトヨタらしい選択。もちろんまだリチウムはかなり高いと思われるが、どのように使い分けるか気になるところ。車種、あるいは販売エリアなどか。2014年で米国におけるプリウスの販売台数は前年比15%減。それでもハイブリッド車で他社を圧倒する1位ではあるが、燃費が最大1リットル当たり40キロメートルという環境性能などで再び米国でブランドに力強さが戻ってくるか。VWがディーゼル問題でつまずいているだけに、欧米市場などで顧客の反応が気になる。

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