軽もスポーツカーも福祉車がかっこよくなってきた!

手だけで運転する「ロードスター」。世界一の高齢化国が映し出すクルマの姿

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アクアの上の小型ボートのような装置から電動で車いすが降りてくる
 高齢者や障害を持つ人が乗り降りや運転をしやすい福祉車両が、多彩になってきた。10月初めに東京都内で開催された「国際福祉機器展」で、マツダは手だけで運転できるスポーツカー「ロードスター」を参考展示した。トヨタ自動車は発売したばかりの小型ミニバン「シエンタ」の車いす仕様車などを展示。日本は世界一の高齢化国で、15年後に3人に1人が65歳以上となる。多様なニーズに応える福祉車は未来の車社会で一層重要になる。

 【障害あっても出かける楽しさを】
 マツダ担当者はロードスターの福祉車をつくった理由を「障害があっても『スポーツカーを運転したい』という方はいるのでは」と語る。参考展示車にはレバーを引いてアクセルをかけ、押すとブレーキがかかる機構や、片手でハンドルを回す補助器具をつけた。福祉車は車内スペース重視の車が大半の中、展示会場でひときわ目を引いた。福祉車も格好良く乗れる時代だ。

 トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「アクア」の上に乗っていた小型ボートのようなものは、実は車いすを格納する「ウェルキャリー」という装置。運転席から降りる時に、電動で車いすを側に降ろしてくれる。同装置は以前からあるが、アクアの低めの車体と相まったスポーティーな見た目に多くの人が足を止めた。

 【軽自動車がけん引、EVも登場】
 富士重工業も運転補助装置付き「レガシィ アウトバック」で出かける楽しさを提案。日産自動車は福祉施設や病院の送迎向けに電気自動車(EV)「e―NV200 送迎タイプ」で、福祉にもEVを訴求する。

 障害を持つ人向けの運転装置はホンダがトップランナーだ。足で運転するフランツシステムは40年近い歴史がある。足を器具に固定し、自転車のペダルを踏むように回転させ、連動したハンドルを回す。個人に合わせてペダルを調整し、ワイパーなどの足で押すボタン位置も変更する。「将来、音声認識の信頼度が上がって福祉車で使えるようになれば、便利になる」(ホンダ担当者)と期待する。

 最近の福祉車市場の伸びは軽自動車がけん引する。2014年の軽福祉車両で販売トップのダイハツ工業は「さまざまなニーズに応える品ぞろえが好評」(担当者)という。売れ筋の「タント」は背が高く、スペースも広いため、車いすで乗り降りしやすい。専用装置を付けるため割高になりがちな福祉車の価格を抑えられることも軽の魅力だ。スズキは「スペーシア」や「エブリイワゴン」、ホンダは「N―BOX+」の福祉車を展開している。

 14年度の福祉車両販売台数は過去最高の4万7869台(前年度比8・3%増)となった。まだ販売台数は多くないが、高齢化社会の進展でにともない拡大が見込まれる。多様なニーズへの対応が求められそうだ。
(文=梶原洵子)

日刊工業新聞2015年10月12日 自動車

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

これはとてもニーズがあると思う。もう「福祉車」という言葉が合わなくなってきている。

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