「トラブルが起きたわけではない」、MRJ4度目の初飛行延期

2017年4―6月の納期は「変更せず」

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MRJの初飛行延期を発表する三菱重工業の鯨井洋一副社長、三菱航空機の森本浩通社長ら
◆初飛行の延期を正式発表

 三菱重工業と三菱航空機(愛知県豊山町、森本浩通社長、0568・39・2100)は10日、国産小型旅客機「MRJ」の初飛行を従来計画の4―6月から9-10月に延期すると発表した。初飛行の延期は4回目となる。各種試験結果を初飛行前に試験機に反映させるため、延期するという。同社は「完成機に近い形で試験できる」(岸信夫三菱航空機副社長)と利点を強調。米国での試験機を増やすなどして試験効率を上げ、2017年4-6月としてきた納入時期は変更しない、としている。

 三菱航空機はこれまで6月中旬に仏・パリで開かれる航空機見本市「パリ・エアショー」に間に合うよう、5月末に初飛行する方針だった。ただ、地上試験や強度試験などの結果、発電機の振動対策など、設計変更が必要な改善点が見つかった。これらを初飛行前に試験機にフィードバックさせるため、初飛行を延期する。10日の会見では開発・製造体制ともに「何か大きなトラブルがあったわけではない」(岸副社長)、「順調に進んでいる」(石川彰彦三菱重工執行役員)と、開発の進ちょくは順調であることを繰り返し説明した。

 初飛行の延期を踏まえて、米国での試験機を従来計画より1機増やして4機とする。「1日あたり3-4回のハイレートな飛行試験」(岸副社長)で、短期間での飛行試験完了を目指す。このため米シアトル市にエンジニアリングセンターを設置。人員を米国人100人、日本人50人の体制とする

 航空機業界では新型機の開発は遅れる傾向にある。ただ、度重なる延期は顧客の信頼が揺らぐことにもつながりかねない。MRJと同様の「リージョナル・ジェット」は、カナダやブラジルなどが先行している。三菱航空機は機体の信頼性を確保しつつも、納期通りに完成させる必要性に、一層迫られている。

◆過去3回の遅れと今回の違い

 MRJの開発をめぐる過去3回の遅れと今回との大きな違いは、納入日程を変更しない点だ。三菱航空機は「納期順守が大前提」(岸副社長)としており、今回の初飛行延期も「(開発日程の)遅れではなく、見直し」と説明する。

 しかし、これまで同社は「新しい開発スケジュールは必ず達成する」(川井昭陽前社長=現三菱重工特別顧問)と述べてきたことを考慮すれば、当初の想定通りに旅客機を開発することの難しさが改めて浮き彫りとなったといえる。

日刊工業新聞電子版 2015年04月11日

COMMENT

三菱航空機は「納期を守るために初飛行を延期した」という逆説的な説明をしていた。しかし、飛行試験の段階に移れば、新たな設計変更が必要になることは容易に想像できる。旅客機開発は、むしろ「飛んでから」が勝負だと思うのだが・・・。

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