“生体ウエアラブル”のビジネスをリードするのはどこだ!?

機器がどんどん進化、それに呼応するサービスは・・

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脳活動データの見える化も可能に(日立ハイテクノロジーズ)
 身に付けるだけで生体データを簡易測定できるウエアラブル機器の進化が著しい。センサーや無線通信機能の高性能化・小型化が進み、測定できるデータの種類も増えつつある。脳活動や血管年齢の測定を対象にしたユニークな機器の開発が進むほか、高齢者のケアに活用するサービスも近く始まる。生体データをうまく活用できれば、ヘルスケア分野で新たな市場を創出できる。
 
 【ヘッドギア型】
 日立ハイテクノロジーズは前額部に装着するヘッドギアタイプの携帯型脳活動計測装置の提供を始めた。微弱な近赤外光を使い血流量の変化をリアルタイムで計測し、脳活動指標や心拍数などをアウトプットできる。

 スマートフォンなど携帯端末のアプリケーションとデータ連携させれば、脳活動データを用いた日常の認知機能確認、脳トレーニング、ストレスチェックなどが可能になる。ウエアラブル機器は「首から上の領域は未開拓分野であり、新しい市場をつくりたい」(日立ハイテクノロジーズ)。まずは企業や大学向けに研究開発キットを販売。アプリ開発に合わせ、装置を2016年から一般ユーザー向けに投入する計画だ。

 太陽誘電は脈拍に加え血管の硬さも計測する圧電圧力波センサーを開発した。従来の脈波センサーとは異なり、脈波の高分解能な加速度波形を連続出力できる。圧電素子で血管壁の振動を直接検出することで動脈の血管壁の硬さ情報も得られるため、同センサーを組み込めば血管年齢を測定できるウエアラブル機器をつくれる。

 モジュールをメーカーに提供するほか、医療機器への応用にも乗り出す。全身麻酔での手術中に患者が感じる痛みやストレスを血管の硬さから調べることも可能で、医療用連続脈波計測装置として今後臨床試験を進める。

 【信号発信機能】
 第一コンピュータサービス(川崎市幸区)と佐藤総研(東京都府中市)はウエアラブル機器を使った高齢者ケアシステムを実用化。セイコーエプソンのリストバンド型ウエアラブル機器を使い、高齢者の状況をネットワーク上で一元管理する仕組み。ウエアラブル機器にタップによるヘルパー呼び出し機能、転倒時の自動救助信号発信機能を持たせた。

 高齢者向け施設などでは「高齢者が転倒した場所によってスタッフを呼び出せないことも多い」(渡邉誉夫第一コンピュータサービス開発事業部長代理)。スタッフの不足や業務負担の増加に悩む施設は、システム導入で業務を効率化しサービスを向上できる。
 
 見える化されていない生体データはまだ数多く残されており、データの見せ方や活用次第で差別化を図れる。高性能化によって医療用途に本格活用する道も開けてきた。ウエアラブル機器は個人が健康状態を把握するセルフケアに使うだけでは宝の持ち腐れであり、市場も頭打ちだ。
(文=宮川康祐)

日刊工業新聞2015年10月09日 ヘルスケア面

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
執行役員 DX担当

やっぱり機器よりそのデータを使ったサービスが気になる。そこはベンチャーに期待したい。ただし、ここの分野はいろいろ規制や利害関係者が多く、安易なアプリとかはすぐ消えてなくなる。地道に医薬業界で人脈を築いているベンチャーもいる。一方でディー・エヌ・エーのようなメガベンチャーの動向も注意。

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