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コンテンツマーケティングで集客&売上UPに成功したECサイトに学ぶ3つのポイント

文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)「Bows-N-Ties」顧客のネクタイの利用シーンを明確に想定
 強引なSEOを行うECサイトは、時としてGoogleの検索エンジンから悪質なサイトと判断されてしまう。ネクタイECの「Bows N Ties」http://www.bows-n-ties.com/
は、強引なSEO対策が原因でGoogleから悪質なECサイトと判断され、検索の上位にECサイトが表示されなくなり大きな売り上げ減少といった憂き目にあったことがある。

 だが、「Bows N Ties」はこの逆境をバネに、コンテンツを活かしたECサイト運営の強化に乗り出す。顧客の利用シーンを想定したコンテンツを用意し、発信する情報と利用層を絞ることで、集客を伸ばすことに成功したのだ。

 ちなみに、「Bows-N-Ties」は2007年に米国サンフランシスコにて設立。2013年には230万ドル(約2億7000万円)の売り上げるなど、いまでは大きな成長を見せている。

 「Bows-N-Ties」が扱うネクタイ、就職、結婚式、葬式、それぞれシーンごとに違うカラー・柄のネクタイが必要となってくる。ドレスコードもある。服とどのように合わせればよいのもなかなか難しい。ネクタイ選びや組み合わせについて、頭を悩ませたことのある人は多いだろう。

 そんなシーンで、ネクタイの総合サイトと言えるような情報があれば大変助かるのではないだろうか。「Bows-N-Ties」は、そんな「お役立ちサイト」を体現しているネクタイのECサイトなのだ。

 3000種類以上ものネクタイを販売すると同時に、ネクタイの結び方、結婚式、葬式などそれぞれのシーンに求められるドレスコード、見栄えの良いネクタイと服のコーディネートの仕方など、ネクタイに悩む人にとり役立つ情報が満載だ。

リストラされたことが起業のきっかけ


 「Bows-N-Ties」がコンテンツマーケで集客アップに成功したポイント
●顧客の利用シーンを想定したコンテンツを用意し、発信する情報と利用層を絞った
●ネクタイの総合サイトと言える「お役立ちサイト」としてECサイトを展開
●顧客が参加できるキャンペーンを高頻度に実施

 創業者のHendrik Pohl(ポール)氏はドイツ生まれ。1998年に父親がシリコンバレーで職を得たこともあり米国カリフォルニアに移住。その後はサンフランシスコのサンタクララ大学でマーケティングを学び、2003年からはリコーの営業として働いていた。

 ポール氏は小さい時から物を売るためのアイディアに優れており、自販機を中学校の横に設置して、お菓子やジュースを販売したこともあったという。その素質を活かしてリコーではかなり優秀な成績を収め、2006年にはデータストレージを販売する会社からヘッドハンティングされて転職した。

 しかし、転職先では思うような仕事ができず、翌2007年にはなんとリストラされてしまった。少し前に家まで買っていた当時27歳のポール氏は、ローンの支払いで日に日に貯金が減っていくという窮地に立たされた。突如として先行きを見通せない生活に転落してしまう。この先一体どうしていけばよいのかわからなくなってしまったという。

 時間に余裕ができたポール氏は、故郷のドイツに住んでいる家族を訪ねてみた。そこで父親が新しい事業、ネクタイのEC販売で成功しつつあることを知る。

 実は、ポール氏の父親は2003年に会社を退職してドイツに帰国した後も、梨をオンライン販売したがうまくいかなかったという経緯があった。そのこともあり、ポール氏は父親のビジネスが成功するとは思っていなかった。しかし、既にこのときにはヨーロッパ内の各国に向け、ブランドのネクタイを販売する規模にまで成長していたという。

 ポール氏は父親のビジネスを見て、これと同じことを米国でやってみればうまくいくかもしれない、と考えた。2週間費やして米国の市場を調査し、ネクタイを販売するECサイトを設立することになった。

 創業当初はなかなか売れなかったが、自身のライティングスキルを活かしたブログの執筆、著名ブロガーとのアフリエイト提携など、マーケティングを戦略的に行った結果、徐々に注文が入ってくるようになった。2013年には230万ドル(約2億7000万円)の売り上げを計上している。

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
コンテンツマーケティングという言葉が使われはじめて1~2年になる。まだCが中心だが、これからBツーBも日本で注目されるようになる。参考になる部分も多い。

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