<矢島里佳の新聞clip10.9号>先人の智慧を大切に受けつぐこと

私たちの生活もこの連鎖が次世代を創っていく

  • 0
  • 0
ノーベル賞を受賞した梶田氏(左)と大村氏
 1週間の日刊工業新聞の記事の中から、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 今週、選んだのはこの3本です。
●両備バス、乗務前点呼の際に健康測定(事故予防へ新システム運用開始=10月1日付)
●ノーベル賞に北里大特別栄誉教授の大村氏(感染症治療に貢献=10月6日付)
●ノーベル物理学賞に梶田氏(ニュートリノ質量確認=10月7日付)
 今週はやはりノーベル賞。ちょうど、飛騨高山の有識者会議の委員として飛騨高山にて会議がありました。その中で、視察があり、このスーパーカミオカンデを拝見したところでした。2002年にノーベル物理学賞を受賞された小柴さんに続き、さらに研究を重ねての受賞。素晴らしい智慧がちゃんと次世代に受け継がれ、さらに良いものを創り出す。私たちの生活もこの連鎖で生み出されてきたものなのですよね。地球誕生の歴史を塗り替える大発明!すばらしいお仕事ですね。

 そして大村先生のコメント。「先人が築いた学問の上で仕事ができたことが受賞につながったのだと思う」。すぐには結果が出ない研究。誰の手柄ではなく、みんなが次へ次へと引き継いだからこそ、今回の結果が出ている。やはり先人の智慧を大切に受けつぐことが、次代の役に立つことにつながるのですね。

ノーベル生理学医学賞 大村智北里大学特別栄誉教授の会見


 ―どんな状況で知らせを受け、受賞をまず先に誰に伝えたか。
 「今日は16時半には帰るつもりが秘書がなかなか帰らず、もたもたしていたらスウェーデンから電話があった。まず心の中で16年前に他界した女房に伝えた。研究が一番忙しい時期に逝ってしまったが、研究が評価され何より喜んでくれるだろう」

 ―受賞の決め手は。
 「私は微生物の力を借りて仕事をしてきた。私自身が偉いことを考え、難しいことをしてきたわけではない。微生物の仕事を整理した程度だ。日本には食品や農業など微生物をうまく使いこなしてきた歴史・伝統がある。私の仕事はその中のほんの一点にすぎない。先人が築いた学問の上で仕事ができたことが受賞につながったのだと思う」

 ―創薬は研究者の一生をかけても、一つも薬にならない人もいる。大村先生はいくつもの薬剤を世に出してきた。決め手は。
 「いい共同研究体制ができたからだ。全国の土壌から毎年2000―4000株を単離して、いい化合物がないかスクリーニングにかけていく。実際には我々の研究室を経て5―6年後に、いい化合物があったかわかる。こうした研究は誰か特定個人の成果ではなく、みなの成果だ。一人では決してできない研究だ。日本人の気質と合っているのだろう。私が私がではチームが成り立たない」

 ―ゴルフ場で見つけた菌株から、有望な化合物が見つかったエピソードがあります。
 「ゴルフは好き。ゴルフのために土を集めに行っているのではと言われることもある。実際カリフォルニアのゴルフ場で靴の裏に着いた土から有望株を見つけたこともある。私も今も財布にはビニール袋を忍ばせ、土をサンプリングしては研究室でスクリーニングをお願いしている」

 ―研究者を目指したきっかけは。
 「山梨大学を卒業して定時制工業高校の教師になった。生徒たちが昼間工場で働き、夜勉強する姿にはっとさせられた。期末試験で工業油をつけたままの手を見て、自分は大学時代遊んでばかりで何をやってきたのかと思った。東京教育大学(現筑波大学)で再度勉強し直した。そこで化学を学び、山梨大学で発酵を研究。化学と微生物の両方を生かせる仕事として、薬剤物質探索に進んだ」

 ―研究の原動力は。
 「たくさん失敗しても、一つびっくりするくらいうまくいくとその時の喜びは何にも代え難い。その後は何度失敗しても怖くない。成功する人は他人の2倍、3倍と失敗している。若い人には失敗を恐れないことを伝えたい。また私自身大変な負けず嫌いだ。大学時代は長距離スキーに打ち込んだ。とても厳しいスポーツで、研究での失敗などたいしたことはない」

COMMENT

矢島里佳
和える
代表

健康測定について。乗客の命を預かる仕事ですから、やはり運転手さんの健康状態はとても大事ですよね。健康測定が簡易キットや、身に付けるものなどで管理できるようになってきた今、無理が出やすい個人の判断ではなく客観的に良い状態で仕事をするということを考えられるようになりましたね。このシステムが一般化するとより安心して、公共交通機関に乗れるようになりますね。

関連する記事はこちら

特集