“明日のラグジュアリー”は炭素繊維から。BMWが新7シリーズ発売へ

130キログラム軽量化。来年にはプラグインハイブリッド車も投入

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価格は1217万円から
 ビー・エム・ダブリュー(東京都千代田区)は7日、先進の運転支援システムなどを搭載しつつ、130キログラムの軽量化で優れた走行性能を実現した新7シリーズを29日から発売すると発表した。炭素繊維部材採用による大幅な軽量化と低重心化で、BMWがこだわる走行性能を引き継いだ。「明日のラグジュアリー(高級車)をつくった」(クロンシュナーブル社長)と話す。税込み希望小売価格は1217万円から。

 まずガソリンエンジン車を展開し、2016年には最長40キロメートルを電気で走行できるプラグインハイブリッド車を設定する。同シリーズには量産車初の技術を複数搭載する。直接触れずに手の動きで車載器を操作するジェスチャー機能を標準装備。16年中旬には車から降りてリモコンで前進後退を操作して駐車する機能を搭載する。

繊維業界「自動車」に期待も量産面で課題


日刊工業新聞2015年4月30日付


 炭素繊維業界にとって、2015年は飛躍の年になりそうだ。鉄に比べて4分の1の重さで10倍の強さを誇り、硬くてさびない特徴を持つ炭素繊維。軽量化や環境負荷低減といったニーズを背景に、航空機や自動車での採用は勢いを増している。ただ、高い価格や製造方法、量産性などの面で課題を抱えているのも事実だ。アルミニウムをはじめ、ライバル素材との競争も激化している。炭素繊維業界の今を検証する。

 【PAN系が9割】
 炭素繊維にはポリアクリロニトリル(PAN)を原料としたPAN系炭素繊維と、石油や石炭からとれる有機物を改質するなどして作るピッチ系炭素繊維がある。需要の約9割はPAN系炭素繊維とされ、東レ、帝人(東邦テナックス)、三菱レイヨンの日系3社で世界シェアの6―7割を占める。

 「航空機の大型受注や自動車での本格的な採用で、炭素繊維の注目度が跳ね上がった」。業界関係者の見方はこう一致する。例えば、14年11月には東レが米ボーイングから航空機向け炭素繊維で総額1兆円分を受注。独BMWが炭素繊維を使った電気自動車(EV)「i3」は、500万円程度という価格帯で話題となった。

 【先行・開き巻き返す他社】
 ただ、各社の炭素繊維事業の業績には大きな開きがある。最大手の東レは航空機向けがけん引し、15年3月期連結の炭素繊維複合材料事業の売上高見通しが前期比45・6%増の1650億円、営業利益は同65・7%増の280億円と、大幅な伸びを見込む。

 一方、帝人、三菱レイヨンは炭素繊維の業績を公表していない。単純比較は難しいが、売り上げや利益面で東レとの差は倍以上あるとみられる。こうした中、巻き返しへ攻めの動きも出ている。帝人は4月に複合材料開発センターで進めていた熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のマーケティング機能と、グループ会社・東邦テナックスの熱硬化性CFRPのマーケティング機能を統合した。

 三菱レイヨンは三菱樹脂のピッチ系炭素繊維事業を統合し、現状の炭素繊維事業の売上高約600億円からの積み上げを目指す。帝人、三菱レイヨンとも扱う製品の幅を広げ、自動車用途などに提案を強化することが狙いだ。

 【変わる勢力図】
 各社とも「炭素繊維を供給するだけのビジネスで収益を得るのは難しい」との声が強まっている。このため、今後は加工や製品といった「川中」、「川下」にあたる領域の強化が不可欠だ。

 炭素繊維は既存材料からの置き換えにより、市場を創出してきた。量産性や加工性といった課題を解決し、用途開拓がさらに進めば、炭素繊維メーカーの勢力図が一気に塗り変わる可能性も秘めている。

日刊工業新聞2015年10月08日 自動車面

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明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

VW問題でブランドイメージに維持するのに躍起のドイツ勢。この混乱に乗じてBMWとアップルの提携話が再燃したり・・

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