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東大、世界最小の磁性粒子を開発―低価格で大量生産が可能

超高密度磁気記録用の素材として使用可能
 東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授らの研究グループは6日、ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの世界最小のハードフェライト磁石を開発したと発表した。酸化鉄でできた磁性粒子で、低価格かつ大量生産が可能。ビッグデータ(大量データ)アーカイブ用の大容量記録媒体である磁気テープや、プリンター用カラー磁性トナーなどへの応用が見込める。英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。

 開発したのは「イプシロン型―酸化鉄ナノ磁性粒子」と呼ぶ磁性粒子。粒子サイズを5ナノ―40ナノメートルで系統的に合成する技術を開発した。また、7・5ナノメートル以上で磁石の性質(強磁性相転移)を示すことを明らかにした。

 磁気テープやハードディスクなどの磁気記録メディアは、3キロエルステッド以上の保磁力が必要。開発材料は8ナノメートルで5キロエルステッドの保磁力を持ち、超高密度磁気記録用の素材として使える。

 強磁性だけでなく、自発電気分極を持っていることも判明。最小のマルチフェロイック(強磁性と誘電性を併せ持つ)フェライト粒子にもなる。

 フェライト磁石は鉄の酸化物を主成分とする磁性材料。永久磁石や磁気記録媒体、電磁波吸収材料などに使われている。硬磁性を示すものをハードフェライトと呼ぶ。従来、粒径を小さくすると磁石の性質を保つことができず、10ナノメートル以下のハードフェライト磁石は実現していなかった。
日刊工業新聞2015年10月07日 科学技術・大学面
山口豪志
山口豪志 Yamaguchi Goushi Protostar Hong Kong 董事長
このような微細なミクロの世界での発明は、そのあとの様々な進化をもたらす可能性があるので、注目していきたい。 東大のこのような基礎研究、基礎技術を活かす産業側にもよい刺激になるだろう。

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