家電メーカーも驚くアイリスオーヤマの驚異のモノづくり力

シャープはどこで間違ってしまったのか?

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研究開発部門や工場、物流拠点が入る複合施設の「宮城・角田I・T・P」
 宮城県南部の角田市を走ると、小高い丘の上に、ハート形をモチーフにした「IRIS」マークが見えてくる。アイリスオーヤマ(仙台市青葉区、大山健太郎社長、022・221・3400)の角田I.T.P.(インダストリアルテクノパーク)は1992年に完成。研究開発、品質評価、製造、流通などを担う国内の最重要拠点だ。製造部門では国内市場向けのプラスチック家具などを手がける。この2月に訪れた時は、新生活商戦向けに植木鉢や収納家具を生産していた。繁忙期に向けて作りためるのだという。

 製造部門の工場床面積は6万1348平方メートル。製造する商品の大きさ別に小型、中型、大型ラインと、組み立て、金型メンテナンス部門に分かれている。150トンから1600トンまで射出成形機が並ぶ様子は圧巻だ。成形機の数は自動化を徹底する過程で稼働当初の半分以下に減らしてきた。現在、稼働する射出成形機のうち半分が油圧式、残り半分が電動式で、「さらなる省力化に向けて電動式への置き換えを進めている最中」(千葉晃製造部リーダー)という。金型は自社で設計。メンテナンスも行うことで、コスト削減につなげている。
 
 アイリスオーヤマといえば、生産と問屋機能を併せ持つ“メーカーベンダー”の先駆けとして知られる。完成した商品は製造部門に隣接する第1物流倉庫に運ばれ、出荷の時を待つ。角田I.T.P.の自動倉庫は全体で2万6105のパレット数を誇る。商品は1階でまとめられ、ホームからトラックで顧客や全国の物流拠点に運ばれる。2階のピッキングエリアでは、小売店のオーダーに合わせて複数の小口商品をまとめてパッキングする。インターネットなど通信販売への対応も2階で行う。近年、通信販売の売り上げが伸びており、ピッキングエリアの重要性は増している。
日刊工業新聞2015年03月20日 機械・ロボット・航空機面

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 アイリスの商品開発は「(生活者に)いくらなら買ってもらえるかという値ごろ感の算出からスタートする」(大山繁生常務研究開発本部長)。
 
 こういう商品ならいくらで買ってもらえるか―。これが商品開発の始まりだ。そしてこの価格で売るために原価はいくらにすればいいかという「引き算の製品原価」(大山常務)が割りだされる。性能は大手メーカー品と比べそん色をなくして、引き算の製造原価が割り出せる商品開発・製造の背景には、アイリスがほとんどの商品を内製化していることがある。「モノづくりがよく分かっているから」だ。
 
 電子部品などは外注だが、自ら金型を保有しプラスチック加工技術などで外装などは内製している。金型の数はざっと7700型。かなり内製化比率が高い。ネジなど金属部品も中国の工場などで自社製造しているほどだ。大山常務は「安全性を担保しながら、ここの部分の“肉厚”を削れば、安くできるなどといったことは、自らモノを製造しているから分かる。内製だと原価もつめられる」と話す。

 外注部品も、アイリス自体がモノづくりを知っているから、発注先も曖昧な品質、価格を出せない。緊張感のある取引関係が築けるという。消費者の値ごろ感を意識した価格を実現する源は、小さな工夫の積み重ねにある。
 

日刊工業新聞2013年08月22日最終面から一部抜粋

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

アイリスの家電は一時「ジェネリック家電」といわれた、後追い製品の意味だが、性能は大手メーカーに比べ同等、しかも新たな視点を付加し価格を抑えている。2000年代以前、家電メーカーとしての色が濃かったシャープと似ているではないか。固定費の重い液晶事業の分社を検討しているというが、シャープという会社の特徴や歴史からすれば、レバレッジ(液晶の大型投資)を賭けすぎた。パナソニックも一時、BツーBを強調していたが、もう一度、家電事業を強化するという。シャープも原点に帰る可能性が高い。アイリスはこれから追われる立場になる。

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