まもなくノーベル化学賞発表。3日連続で日本人の受賞なるか!

注目は「酸化チタン光触媒」や「リチウムイオン電池」。海外勢では話題の「ゲノム編集」など

 ノーベル生理学・医学賞の大村智北里大学特別栄誉教授、物理学賞に梶田隆章東京大学宇宙線研究所所長と、二日続けて日本人が受賞。化学賞も有力者が多く3日連続の期待がかかる。

東京理科大の藤嶋昭学長や旭化成の吉野彰フェローら


 青色LEDが14年の物理学賞の受賞テーマとなったように、近年は実社会でのイノベーション創出につながる成果を評価する傾向がある。その意味で関連市場の規模が1000億円まで拡大した酸化チタン光触媒は、受賞の期待が大きいテーマの一つだ。

 東京理科大学の藤嶋昭学長らによる発見を基に、TOTOの抗菌タイルをはじめ多様な用途で実用化されている。同大の光触媒国際研究センターの取り組みにより、作物の水耕栽培における水浄化にも研究開発が広がってきた。屋根やベランダに太陽光を集めて部屋に送る「光道管(こうどうかん)」の開発プロジェクトも、藤嶋学長のアイデアから生まれている。

 旭化成の吉野彰フェローらが開発したリチウムイオン電池も受賞が期待されるテーマ。携帯電話やノートパソコン用として普及しており、まさにイノベーションといえる技術だ。もっともリチウムイオン電池の開発では別に米国グループの候補者もおり、日米の研究者による共同受賞の可能性もある。

「ゲノム編集」でシャルパンティエとダウドナの両博士も有力候補


 米調査会社のトムソン・ロイターが選んだ化学賞の候補として、話題の「ゲノム編集」を開発したフランス人と米国人の2人の女性科学者が選ばれている。世界的ではこちらの方の注目度が高く、トムソン・ロイターの英文ニュースリリースでもこの2人の名前が最初に紹介されているほどだ。

 「ゲノム編集手法CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)の開発」として、ノーベル化学賞の候補に挙げられたのは、スウェーデンのウメオ大学スウェーデン分子感染医学研究所(MIMS)准教授や独ハノーバー大学医学大学院教授などを務めるエマニュエル・シャルパンティエ博士と、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)教授のジェニファー・ダウドナ博士。ゲノム(全遺伝情報)の正確な編集を通じて、遺伝病やがんといった難病の治療法確立や農産物の改良などに役立つとされ、2人は米タイム誌が4月に発表した「世界でもっとも影響力のある100人」にも選ばれている。

 CRISPR/Cas9は第3世代の遺伝子編集技術。これまでの手法に比べて容易で、かつ高い精度で狙ったゲノムの位置を切断し、バクテリアや植物、ヒトなどの特定の遺伝子の機能を破壊したり、遺伝子を置き換えたりすることができるとされる。ただ、特許紛争も巻き起こり、米ハーバード大学と米マサチューセッツ工科大学(MIT)の共同研究機関であるブロード研究所、および同研究所でゲノム編集の研究に携わるフェン・チャン博士が、CRISPR/Cas9に関する10以上の主要特許を米国特許商標庁(USPTO)から認められたが、これにダウドナ博士の所属するUCバークレー側が強く抗議する事態となっている。

日刊工業新聞2015年09月29日 科学技術・大学面の記事に大幅加筆・修正

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明 豊

明 豊
10月07日
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もしトリプル受賞にでもなったら、何かと騒がしい安倍政権は大助かりだろう。

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