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「脱・はんこ文化」ビジネスがアツい!IT各社が相次ぎサービス拡充

「脱・はんこ文化」ビジネスがアツい!IT各社が相次ぎサービス拡充

ドキュサインの「電子署名クラウドサービス」(公式サイトより)

ITサービス各社が新型コロナウイルス感染症の拡大による在宅勤務の増加を受け、電子署名サービスを拡販している。2001年に電子署名法が施行後、電子署名は法律上認められていたが、導入企業の事例が少なく、普及していなかった。在宅勤務の本格導入を機に、はんこを押すために出社する社員を減らしたい企業への導入を目指す。(取材・張谷京子)

富士ゼロックスは、米ドキュサイン(カリフォルニア州)の電子署名基盤「電子署名クラウドサービス」の提供を始めた。4月の問い合わせ件数は、1―3月の累計の問い合わせ件数と比べてほぼ倍増したという。契約書をクラウド上にアップロードし、双方の契約者が電子署名をすることで契約を締結できる。紙の契約書の受け渡しに必要だったリードタイムを短縮し、紙資料の管理費を削減することが可能。1文書当たり約4000円削減できる。

アドビシステムズ(東京都品川区、ジェームズ・マクリディ社長)は、電子署名サービス「アドビ・サイン」を、より幅広い規模の企業に導入しやすくする販売パートナープログラムを始めた。

「アドビ・サイン・ソリューションパートナープログラム」は、アドビ・サインのライセンスと購入後の導入支援サービスを提供する「ソリューション販売パートナー」、外部システム連携を支援する「SI/連携ソリューションパートナー」、文書の電子化に関わる法令対応や業務分析を支援する「業務/法令対応コンサルティングパートナー」という3種類のパートナーで構成する。パートナー企業が提供する専門知識の支援を受けながら業務分析や技術的な連携実装を円滑に進められる体制を築く。

弁護士ドットコム(東京都港区)は、ウェブ完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」を提供している。2015年にサービスを開始し、導入企業数は8万社以上に上る。4月に大阪支社を開設。今後、西日本地域での営業活動を強化する。

クラウド型電子契約サービス運営のイースタンプ(東京都豊島区)が大手企業社員420人を対象に実施した調査によると、緊急事態宣言中にはんこを押印するためだけに出社した、もしくは出社する予定の社員の割合は40・9%だった。電子契約や電子請求書の双方を導入していないと答えた割合も51・4%と過半数を超えている。

ただ、政府の規制改革推進会議が、政府や地方自治体による行政サービスの電子化に向けた検討に着手した。安倍晋三首相も書面での申請や押印が必要だった行政手続きの電子化を急ぐ考えを表明している。官民共に電子署名を普及させる支援策も期待できそうだ。

日刊工業新聞2020年5月28日

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