上下水道のインフラビジネス、東芝は強みを生かせるか

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東芝インフラシステムズが西日本豪雨からの復旧を支援した広島県三原市本郷取水場

「我々のレゾンデートル(存在意義)は、社会の基盤を支えるインフラ企業として社会に貢献するから必要とされる」。東芝社長の車谷暢昭は自社の存在価値をこう定義する。

インフラサービスの範囲は原子力や火力などのエネルギー分野に限らない。車谷は「上下水道システム事業は国内でシェアが高く、水は安全保障や防災にもつながる。日本国民の生活・安全に深く関わり、機器を供給・メンテナンスするのは東芝にとって基礎的で外せない事業だ」と改めて強調する。

上下水道事業はEPC(設計・調達・建設)まで請け負う場合もあるが、大きな強みは浄水場や処理場、ポンプ場などを統合管理する監視制御システム「TOSWACS」だ。約40年前から始めて、全国800カ所に納入実績がある。国内シェアは二十数%とトップ集団に位置する。

2018年7月の西日本豪雨により愛媛県宇和島市で大規模な断水被害が発生した。浄水場が被災し、約1万5000人への水道用水供給が止まってしまった。水道施設の運用・管理を受託する東芝インフラシステムズ(川崎市幸区)は直後から現地入りして復旧対応に当たった。仮設用の代替浄水施設の電気設備を迅速に導入し、1カ月以内で断水を解消できた。

同じく被災した広島県三原市でも数十人を派遣し、発生から9日間で取水場のポンプ2台を復旧した。東芝インフラシステムズ取締役社会システム事業部長の坂口和也は「18年10月からは本復旧に着手し、受変電設備を1階から2階に移動させ、自家発電設備のかさ上げなどを行った。通常2―3年の工期で行う工事量を約半年で完成させた」とインフラ企業の面目躍如たる働きだった。

実績豊富な上下水道事業だが、国内主体で人口・工場減少による市場縮小に直面している。顧客となる地方自治体も財政難や人材不足、設備老朽化、自然災害への対応に苦慮する。現在の潮流は民間委託中心の官民連携と、市町村など既存の枠組みを越えた広域化にある。

19年末に東芝インフラシステムズは同業の水ingグループと共同で香川県内ほぼ全域の浄水施設の運転・管理を受託した。東芝は約60施設を担当。坂口は「製品・システムの提供に加え、官民連携による自治体とのパートナーシップも含めて、地域住民や自治体側に寄り添い、ソリューションを効果的に提供する」と、新たな潮流に商機を見いだす。(敬称略)

日刊工業新聞2020年5月19日

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