「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(5)競争歪める支援に批判

「ひいき」を穴埋め、羽田の国際線発着枠はANAが2倍以上に

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航空機などの資産は簿価から時価に
 日本航空(JAL)は会社更生法申請で、スポンサーとなった官民ファンドの企業再生支援機構から3500億円の出資を受け、財務基盤を強化し、再生につなげた。この出資には政府保証が付いており、公的支援と呼ばれる由縁となっている。国の手厚い支援と会社更生法の強力な効果が、競合他社の全日本空輸(ANA)や政財界から「航空業界の競争環境をゆがめる」として批判されているのも事実だ。

 会社更生法の適用がJALにもたらした利益の押し上げ効果は主に三つ。一つ目は航空機などの資産を簿価から時価に評価替えして、減価償却費が減少する財産評定の効果。二つ目は金融機関などの約5200億円の債権放棄による金利負担の軽減効果。三つ目は18年度まで続くことになっていた法人税の減免だ。

 ANAはJALの2014年3月期の当期利益における押し上げ効果が約1000億円に上るとみる。これが両社の営業利益率に顕著に表れており、JALの14年3月期の営業利益率12・7%に対し、ANAは4・1%。ANAからすれば、自らの失策で経営破たんを招いたJALが国の支援で助けてもらった揚げ句、受けた恩恵を原資に機材への投資などで競争力を高め、脅威となっているわけだ。

 ANAは公的支援を実行する際に、競合他社も含めた関係者に意見を聴取するよう求めている。また投入した公的資金は再建に無関係な新規投資に回さないといった用途制限も訴えている。しかしJALの更生手続きが終了した後では、手遅れなのが現状だ。
 
 一方、JALに対する「ひいき」を穴埋めすべく、14年3月に拡大した羽田の国際線発着枠はANAに2倍以上の差がついて傾斜配分された。また法人税減免についても、14年12月に公表された15年度税制大綱で、会社更生法適用から再上場した企業は、減免の幅が縮小される。ただANAは9年間で4000億円の法人税減免効果が、約700億円圧縮されるに過ぎないと指摘する。バブル崩壊後の金融機関と同様、JALには“公的支援で助けてもらった企業”のイメージがつきまとう。機構の資金は金融市場から調達したもので、厳密に言えば、税金ではないが、JALの真の再生は、そうした評価を払拭する道のりでもある。(敬称略)

日刊工業新聞2015年03月11日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

今日からJALの連載再開です。私は小松市出身なので、帰省する時はだいたいJALの羽田~小松便を利用しています。北陸新幹線が開業して、航空料金が最大で4割以上安くなりました。東京から金沢へ行く人はかなりの部分、新幹線に流れるでしょう。引き続き小松便を利用する身にとって、値下げはありがたい話だし、「もっと早くできなかったの?」という気持ちもあります。健全な競争は絶対に必要ですが、国全体の交通インフラ政策を真剣に考えないと、「いつか来た道」になりかねないと。

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