ソニーの復活はホンモノ!?投資の傾斜配分強める

なぜ、イメージセンサーばかりにお金をかけるのか

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再建のキーマン、吉田CFO
 ソニーが成長投資のアクセルをじわりと踏み始めた。保有するオリンパスの株式を売却し投資のための資金を確保する一方、イメージセンサーの生産能力を当初の増産計画から約1割増やす。2015―17年度までに電子デバイスやゲームなど重点4分野に資金を傾斜配分する計画を掲げており、競争力の高い分野に集中し復活を急ぐ。

 【4分野に集中】
 ソニーは電機部門の再生に向け、不振のテレビ部門などで大なたを振るい、改革効果を上げつつある。一方で主力のスマートフォン事業は15年度も構造改革を続ける必要があり、成長戦略に使う資金的な余力は限られている。ただ、改革だけにとらわれれば、復活は遠のくばかり。そこでイメージセンサーなど競争力の高い事業には、再投資に踏み切る。

 成長投資のための資金を捻出するため、このほど保有するオリンパスの株式約10%の半分をJPモルガン証券を通じて売却。15年4―6月期に譲渡益として約468億円を計上する。オリンパスの財務基盤が改善したことを踏まえ、適正な出資比率に修正し資金を確保するのが狙いだ。成長領域に位置付ける電子デバイス、ゲーム、映画、音楽の4分野に対し資金を集中投入する。

 【追加投資で先行】
 特に注力するのがCMOSイメージセンサー(撮像素子)。1050億円を投じて月産6万枚(300ミリメートルウエハー換算)から同8万枚に増やす計画を2月に発表したばかりだが、この4月に約450億円の追加投資を公表。16年9月末までに同8万7000枚に引き上げる。スマホ向けの需要が新興国を中心に普及価格帯にも広がっており、追加投資を間断なく行って先行する。

 同社のスマホ向け画像センサーの世界シェアは約40%とされ、トップに位置する。ただ近年は画素数競争に頭打ち感が出ており、技術的な優位性が薄まりつつある。価格競争への対応を強めるため、生産能力を一段と拡充し、高級帯に加えて普及価格帯にも侵食する構えだ。首位を維持しプレゼンスを保つことで、価格交渉や材料調達を優位に進め、収益力の低下を防ぐ。

 【PS4も好調】
 重点分野の家庭用テレビゲーム機「プレイステーション4(PS4)」でも販売が伸長する。3月には発売から1年4カ月で累計実売台数が2020万台を突破。歴代のPSの中で、最速レベルで普及が進む。現在はクラウド型ゲームやテレビコンテンツ配信などPS4を介したネットワークサービスを強化しており、ネットワークサービス基盤やゲームソフトの開発などに経営資源を投入する方針だ。

 スマホなど不採算事業を早期に切り出し、成長余力の高い事業に積極的に再投資できれば、回復軌道に乗る公算が大きい。イメージセンサーへの成長投資はソニー復活の狼煙になるか―。

日刊工業新聞2015年04月10日 電機・電子部品・情報・通信面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

今日4月11日は、ソニーの創業者の一人、井深大さんの誕生日(1908年生まれ)である。ソニーの凋落がいわれてかれこれ10年以上になる。ここにきて復活の兆しを感じるようにみえるかもしれないが、そう単純ではない。この数年、ソニーの投資は各事業部門内のキャッシで回すのが原則。イメージセンサーに投資するのも、この事業が稼いでいるから。当然であるが、別の見方をすればコーポレートが主導する戦略投資がほとんどない。それでは次の新しい芽は育たない。今のソニーを支えているのは吉田SFOだ。社内外の声を積極的に聞こうとするし、ソネットのトップを務めいたため、ソニーのネットワーク事業の脆弱さも分かっている。確かに吉田氏は有能で、平井さんダメなら次の社長という声もある。井深さんは「創造的失敗を恐れるな。鍬を持って耕しながら、夢を見る人になろう」と言い続けた。今のソニーをどのように見ているのだろうか。

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