「データサイエンティスト」不足度調査、企業にとってどれほど貴重な存在?
企業が求めるデータサイエンティスト(分析官)の人材像とは―。データサイエンティスト協会の調査によると、求められるデータサイエンティスト(DS)とは「データによるビジネス課題解決を得意とする人材」が最も多いことが分かった。ただ、DS需要が高まる一方で、DS採用予定企業の58%が「目標としていた人数を確保できていない」などのミスマッチの状況も明らかとなった。
企業におけるDSの在籍状況や採用実態などを定量的に把握したデータはこれまでなかった。データサイエンティスト協会によると「DSに対する企業のニーズを感覚ではなく、“データ”として初めて把握した本格的な調査」(塩崎潤一調査・研究委員会委員長)と位置づけている。
対象は国内企業の人事部門。従業員30人以上の企業をランダムに抽出し、283社の有効回答を得た。
調査ではDSの在籍者数を尋ねたところ、「1人以上在籍している」との回答は全体の29%となり、内訳は「1―2人」が22%、「3―5人」が26%、「6―10人」が22%となった。DSを増員予定の企業に対して、今後3年間でのタイプ別の増員数を尋ね、各社のタイプ別人数比率の平均値を算出した。結果として「データエンジニア」タイプ(43%)が最も多く、次いで「データマーケター」タイプ(33%)、「データアナリスト」タイプ(24%)となった。
DS人材像としては「ビジネス課題解決」「戦略検討」スキルを持つ人材が多く、また、DSを採用しようとした企業のうち、目標としていた人数を確保できなかった企業が58%に上っている実態が確認された。
今後3年間でDSを何人程度増やすかについては、DS在籍企業の77%が増員予定と回答した。現在DSがいない企業でも11%は新規獲得を予定していることが分かった。
DSの需要は今後も拡大傾向にあり、「需給のギャップを埋めていくことが大きな課題である」(データサイエンティスト協会)としている。
塩崎調査・研究委員会委員長は「DSは企業にとって特別な存在ではなく、システムエンジニアやマーケターなどのように、必須の人材になってきている」と指摘。これを踏まえ、「今後も分析できるデータが拡大し、一般の人でもデータが分析できるようになる“データサイエンスの民主化”が進むことで、この傾向はさらに強まっていく」とコメントした。