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産業革命を起こしうるロボットとは何か

文=三治信一朗(NTTデータ経営研究所)「懐疑的に見るものもいるが、まずは理想を掲げること」
産業革命を起こしうるロボットとは何か

2035年には9.7兆円との試算も

 より高度化した産業用ロボットに、身近なサービスロボット、何かと話題の飛行ロボット(ドローン)、それにロボットの頭脳ともいえる人工知能―。ロボットを切り口に、新しい産業が勃興しようとしている。国内外のロボット事情に詳しいNTTデータ経営研究所のアナリストに、ロボットの現在と未来を解説してもらう。
 
 【ロボットとは何か】

 2014年5月のOECD閣僚理事会において、安倍首相がロボットによる「新たな産業革命」を起こすと宣言したことを契機に、ロボットがまた注目を集めるようになった。ロボットとは何か。いつも繰り返される命題であるが、簡単に言えば、何かを感じ、判断し、動くものである。または、これら三つの機能のいずれかを用いることでロボット的なことができるようになることも広くロボットとしてよい。

 ソフトバンクの「ペッパー」のようにセンセーショナルにロボットが取り上げられることもあるが、日本が世界一を誇るのは、産業用ロボットの分野であり、自動車、電気電子の分野で広く使われ続けている。

 ドローンのように、カメラを載せて使ったり、通信とのやりとりが必要となったりするものも、ロボット的であると言える。身近になったお掃除ロボット、エアコンの人感知するものなどもロボットだろう。自動運転技術をグーグルはじめ、国内外の自動車メーカーも取り組んでいるが、これもロボット的である。人自身の能力向上にも寄与するようなロボットスーツもあるし、癒やしを与えてくれるアザラシ型ロボットのパロもある。
 
 【極限状況で活用】

 一方で、原発対応といった極限状況でも動き回ることのできるロボットには、大きな期待が寄せられる。ロボット技術は、このように身近になってきた。その根源的なものは、やはり三つの機能の組み合わせである。過去から未来に向けてロボット産業がどのように発展していくのか、どのような産業インパクトをもたらすか、革命を起こすほどのロボットとは何かを本連載ではひもといていく。

 人間は火をおこし、電気を使い、技術によるイノベーションを幾度も経験した。それはロボットにも当てはまる。いつの時代も技術を使いこなすのは人だ。人自身が技術・モノによってその使いこなし力をあげることによって、ロボットと技術も向上するというスパイラルアップの歴史である。
 
 【9・7兆円市場へ】

 09年に経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が発表したロボットの将来市場予測では、35年に9・7兆円の市場規模になる可能性が示された。また、昨年の日本再興戦略改訂版において、20年までにロボット市場を製造分野で現在の2倍、非製造分野で現在の20倍になるという定量目標も掲げられた。

 懐疑的に見るものもいるが、まずは、理想を掲げることが重要だ。ロボットは、製造業にとどまらず、医療、介護、農業、インフラ産業へ革命をもたらす。将来を、絵に描いた餅で終わらせてはならない。
  
三治信一朗(さんじ・しんいちろう)NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット 産業戦略チームリーダー シニアマネージャー。2003年(平15)早大院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了、同年三菱総合研究所入社。15年NTTデータ経営研究所に入社し産業戦略チームリーダー。
日刊工業新聞2015年10月02日 ロボット面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
ロボットブームが到来している今、「ロボットとは何か」を再び考えようという話題も増えてきた。何も人型だったり、ハンドリングできるものだけがロボットという訳ではないが、そういったロボットが社会を変える様子にも期待してしまう。サービスロボットに対してまだ懐疑的な意見もあるが、ここに書かれているようにまずは理想を掲げ、そのために足りないピースを埋めていかなければ発展にはつながらない。

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