【新型コロナ】電子デバイス市場、想定外の特需に沸く
新型コロナウイルス感染症対策向けの電子デバイス需要が急拡大している。三菱電機は体温測定に使う赤外線センサーの引き合いが約10倍に増えている。旭化成も深紫外発光ダイオード(LED)で表面殺菌向けに引き合いが拡大。新型コロナへの不活化効果の評価にも乗りだし、大学研究機関に同LEDの無償提供を始めた。全世界で産業活動が停滞するなか、電機業界で想定外の特需が生まれつつある。
三菱電機はサーマルダイオード赤外線センサーに関して体温測定用途での引き合い数が現在、新型コロナ発生前と比べて約10倍の規模となっている。アジア中心に海外顧客からの問い合わせが絶えず、複数社が採用の検討に入ったという。
「体温測定の市場が急速に立ち上がっている。2019年11月の発売時にはこんなに大きな市場になるとは思っていなかった」(三菱電機担当者)と予想外の用途が発生。複数人を同時に検温でき、工場やオフィスビルの入り口に設置する自動検温システムなどへの搭載を想定する。
旭化成は深紫外LED子会社の米クリスタルISを中心に、第三者評価機関と協力して新型コロナへの不活化効果の評価に乗り出した。大学へのLEDサンプル提供もその一環といえる。深紫外波長帯(230ナノ―280ナノメートル)で発光し、これまでさまざまな殺菌用途で販売してきた。
現在、表面殺菌用途での引き合いが急拡大している。「UV(紫外線)殺菌について従来のSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルス(SARS―CoV―1)の不活化は実証されており、新型コロナ(SARS―CoV―2)に関しても効果があると考えられる」(旭化成担当者)として第三者の評価を待つ。
需要増はデバイスに限らない。ウシオ電機は有人空間向けの222ナノメートルUV殺菌ユニットを製品化する。2―3カ月以内に数百台を国内外の医療機関へ優先供給し、20年9月をめどに量産を始める。当初は21年の製品化予定だったが、新型コロナで計画を前倒しした。同ユニットは病院の診察室や受付などの天井に取り付ける。
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