長崎の“スリーダイヤ”は再び輝くか!

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長崎造船所の香焼工場
 「大工さん急募! 『世界最大級の豪華客船を一緒に造りませんか!』勤務地・三菱重工香焼(こうやぎ)工場内 まずはお電話ください」―。長崎市内でこんな張り紙を見かけた。下請け企業の求人広告だろう。
 三菱重工業の長崎造船所は今、2隻の客船建造が佳境を迎えている。度重なる設計変更で累計1300億円もの損失を計上したが、ようやく1番船が当初から9カ月遅れの12月に竣工(しゅんこう)する。各地から人をかき集め、数千人がかりで洋上ホテルの内装工事が進む。

 亀山社中跡に近い風頭公園。標高152メートルに位置する巨大な坂本龍馬像がドックを正面に見下ろす。造船所は産業近代化の先駆けとなり、龍馬が夢見た未来の日本の礎を築いた。“スリーダイヤ”は地域の誇りでもある。

 悪夢のような「旧ダイヤモンドプリンセス」火災から13年。海上試運転を目前にした超大型船が36時間にわたり延焼し、およそ4割を失った大事故は日本の造船史に残る。高い授業料だったが、豪華客船の知見を持つ造船所はアジア唯一だ。

 長崎造船所はLNG運搬船建造などを分社し、新体制で再起に挑む。業界では新造船完成を”玉成“という。玉のように磨き上げた日本製の船舶を、堂々と世界に送り出してもらいたい。


三菱重工、長崎・商船事業黒字化へ―連続建造モデル構築


日刊工業新聞2015年9月29日付


 三菱重工業は28日、10月1日に営業を始める長崎造船所(長崎市)香焼工場内の商船建造事業会社「三菱重工船舶海洋」(客船を除く、従業員数約500人)、船体ブロック製造事業会社「三菱重工船体」(同約170人)の説明会を実施し、LNG(液化天然ガス)運搬船などの連続建造に入る2016年度からの黒字化を目指す方針を明らかにした。15年度は資源探査船の建造が続き、赤字が避けられない見通しだが、戦略転換により赤字脱却を目指す。

 三菱重工船舶海洋社長に就任する横田宏氏は韓国や中国の造船所に対抗し客船や資源探査船など高付加価値船にシフトした「もともと描いた戦略が難しく、それを反省し、同型船の連続建造モデルにしないと商船はビジネスとして成り立たない」と断言。

 現状、約3年分の手持ち工事を抱えるガス船建造に特化し、3―4年後に事業規模を現状比3割以上増やし、1000億円を目指す。一方、三菱重工船体社長に就任する村上幸司氏は「外販によりブロックの生産量を上げる」とし、事業規模を同4割程度増やし、100億円に引き上げる方針。

 横田氏は商船事業における部門間の壁の高さなどが障壁となっていた「長崎造船所の企業風土を変えていきたい。合理的な仕事のやり方に変え、コストダウンができると思っている」とした。雇用、給与水準は維持する。

日刊工業新聞2015年10月02日 総合1面「産業春秋」より

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

「造船所」という名前は残っていますが、長崎造船所は県内各地の工場で船舶関連以外の製品も製造しています。ただ、長崎は三菱グループの発祥地であり、造船業は地域にとっての基幹産業でもあります。これまでも激しい浮き沈みに耐えてきたように、なんとか荒波を乗り切ってもらいたいです。

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