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半導体製造装置企業の円滑な在宅勤務を実現した「秘密兵器」

半導体製造装置企業の円滑な在宅勤務を実現した「秘密兵器」

半導体製造装置の製造エリア(東京エレクトロン提供)

東京エレクトロンは人事部門が中心となりRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の展開を図っている。導入実績を積み上げて、さらに人事の枠を超えた管理部門全体の業務効率アップを狙う。目下、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため在宅勤務が急加速。企業は働き方の変革を余儀なくされている。同社は「アフター・コロナ(コロナ禍の収束後)」を視野に、RPAの活用と合わせて業務改善の取り組みを進める。

「かなりの業務でルーティーンワークが含まれていた」。内藤学人事部長代理はこう振り返る。RPAの十分な効果を得るには、運用前に業務内容を細かく分析し、工数をはじき出す必要がある。

同社は2018年にRPAを導入し、まず給与・福利厚生業務を37業務に分類した。業務の再現性が高く、難易度が低い領域を「標準化エリア」とし、同エリアにRPA活用の照準を合わせた。各業務を分析すると、主要業務ほど標準化エリアの割合が多かった。

現在は44業務でRPA化が進む。会計伝票では約3分の1の工数を削減できた。20年からは各業務で使用するRPAのロボットを一元管理するツールも使い、さらなる効率性の向上を目指す。

社内でRPAを広げるには一筋縄ではいかない面もある。「RPA化の作業も自動化できるという勘違いがある」(内藤部長代理)という。導入前には十分な業務分析を避けて通れない。他部門にRPA化の手順を指南する「“アンバサダー”が重要だ」(同)としている。

RPAの効果を明示するため、4月に効果測定も開始した。財務部門からも導入の相談が来ている。既存システムとRPAを掛け合わせることで、さらなる業務改善を進める。

新型コロナの影響でオンライン会議システムなど新しい仕事ツールも急拡大している。同社ではRPAの活用などデジタル化を推進してきた結果、スムーズに在宅勤務へ移行できたという。今後は「在宅勤務のノウハウをアフター・コロナで有効に展開したい」(同)と先を見据える。

(日下宗大)
日刊工業新聞2020年5月7日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
RPAの取材は酒造メーカー、電子部品メーカーに続き、今回の半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンで3回目でした。RPAに限らず、業務効率を高めるデジタル化の流れはコロナ禍もあり、より加速しています。デジタル化に向けた企業の姿勢に社内外から視線が注がれています。

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