<矢島里佳の新聞clip10.2号>働くと損する制度はもったいない
103万円超で生じる「配偶者控除」や「第3号保険者制度」の見直しを
1週間の日刊工業新聞の記事の中から、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの2本です。
●持続可能な開発に関するサミット開幕(全世界「合意」で企業にチャンス=9月25日付)
●安心して働ける環境整備を(「人口減少社会」住友生命保険・佐藤義雄会長=9月30日付)>
安心して働ける環境整備の重要性を提言する住友生命保険の佐藤会長の記事。103万円までしか働かない、それ以上働くと控除額が減額されるので損をする。この意識はとてももったいないと思います。働くと損するという考え方がなくなるような、新たな制度を設けることが必要なのではないでしょうか。
少子化対策の必要性が高まっている。わが国の総人口は、2010年の1億2806万人をピークに減少に転じ、その勢いは加速するばかりだ。出生減に歯止めをかけ、労働力を十分に確保することが、未来の日本の成長に直結する。官民を挙げて、少子化対策・勤労支援に真摯(しんし)に取り組みたい。
【子育て支え女性の活用を】
少子高齢化、人口減少に突入したわが国において、労働力人口をいかに確保するかが、将来の日本経済の行方を大きく左右する。移民の受け入れも一案だが、政治的に難しい課題であり、国民のコンセンサスは得られていないのが実情だ。まずは女性や高齢者の活用が優先すべき検討事項であり、ワーキングプア対策などの若者の勤労支援も重要な課題である。管理職などのハイエンド層だけではなく、より広い層が安心して働くことができる環境整備をさらに進めることが重要になる。
手前みそになるが当社では「ファミリーサポート転勤制度」を07年から導入している。これは女性が結婚後、夫が転勤になった際、夫の勤務地への異動を認める制度で、これまでに約160人が活用している。企業が導入している配偶者手当を育児手当などに転換する動きが出てきていることも歓迎すべき動きだ。女性が働きやすい環境を整えること、子育てを社会が支える仕組みを導入することが日本全体に問われている。働くことの阻害要因となっているのではないかと言われている税制などの制度見直しも必要だ。議論されている配偶者控除などの見直しも急ぎたい。
【勤労促進税制が働く選択肢広げる】
現在、主婦の収入が103万円を超えた場合、夫の控除額が減額される「配偶者控除」や、130万円以上の場合、妻の保険料支払いが生じる年金の「第3号保険者制度」があるが、「控除内に収入を抑えなければ損をする」との認識が定着し、女性の就労を阻む一因になっていると言われている。オランダやデンマークのように、基礎控除が配偶者間で移転可能になるような新たな制度設計が待たれている。勤労促進税制の導入も検討課題だ。政治的配慮などで進まなかった改革もあろうが、今こそ100年の計で臨んでほしい。
幅広い層が能力を生かし活躍する社会の実現こそが時代の要請である。働き方に選択の幅を広めると同時に、勤労と育児へ税制面などでの社会的サポートを強め、少子化時代を乗り切りたい。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの2本です。
●安心して働ける環境整備を(「人口減少社会」住友生命保険・佐藤義雄会長=9月30日付)>
安心して働ける環境整備の重要性を提言する住友生命保険の佐藤会長の記事。103万円までしか働かない、それ以上働くと控除額が減額されるので損をする。この意識はとてももったいないと思います。働くと損するという考え方がなくなるような、新たな制度を設けることが必要なのではないでしょうか。
「広角」住友生命保険・佐藤義雄会長
少子化対策の必要性が高まっている。わが国の総人口は、2010年の1億2806万人をピークに減少に転じ、その勢いは加速するばかりだ。出生減に歯止めをかけ、労働力を十分に確保することが、未来の日本の成長に直結する。官民を挙げて、少子化対策・勤労支援に真摯(しんし)に取り組みたい。
【子育て支え女性の活用を】
少子高齢化、人口減少に突入したわが国において、労働力人口をいかに確保するかが、将来の日本経済の行方を大きく左右する。移民の受け入れも一案だが、政治的に難しい課題であり、国民のコンセンサスは得られていないのが実情だ。まずは女性や高齢者の活用が優先すべき検討事項であり、ワーキングプア対策などの若者の勤労支援も重要な課題である。管理職などのハイエンド層だけではなく、より広い層が安心して働くことができる環境整備をさらに進めることが重要になる。
手前みそになるが当社では「ファミリーサポート転勤制度」を07年から導入している。これは女性が結婚後、夫が転勤になった際、夫の勤務地への異動を認める制度で、これまでに約160人が活用している。企業が導入している配偶者手当を育児手当などに転換する動きが出てきていることも歓迎すべき動きだ。女性が働きやすい環境を整えること、子育てを社会が支える仕組みを導入することが日本全体に問われている。働くことの阻害要因となっているのではないかと言われている税制などの制度見直しも必要だ。議論されている配偶者控除などの見直しも急ぎたい。
【勤労促進税制が働く選択肢広げる】
現在、主婦の収入が103万円を超えた場合、夫の控除額が減額される「配偶者控除」や、130万円以上の場合、妻の保険料支払いが生じる年金の「第3号保険者制度」があるが、「控除内に収入を抑えなければ損をする」との認識が定着し、女性の就労を阻む一因になっていると言われている。オランダやデンマークのように、基礎控除が配偶者間で移転可能になるような新たな制度設計が待たれている。勤労促進税制の導入も検討課題だ。政治的配慮などで進まなかった改革もあろうが、今こそ100年の計で臨んでほしい。
幅広い層が能力を生かし活躍する社会の実現こそが時代の要請である。働き方に選択の幅を広めると同時に、勤労と育児へ税制面などでの社会的サポートを強め、少子化時代を乗り切りたい。