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文化シヤッターの異常気象に備えるCSR戦略とは?

浸水被害防ぐ製品拡充

文化シヤッターは浸水被害を防止するための止水シートやドア、止水板などを手がける止水事業に力を入れる。近年大型化した台風やゲリラ豪雨が多発し、水害被害が拡大する中で事業そのものが社会貢献につながっている。今後の戦略や方針について松山成強執行役員CSR統括部長に聞いた。(高島里沙)

―CSRに取り組む上での考え方を教えて下さい。

「事業の中にCSRを取り込むことによってビジネスチャンスが拡大する時期に来ている。止水製品の販売が防災につながるように、社員には事業そのものが社会貢献につながるという意識を持ってほしい。これまではCSRを団体への協賛などコストとして捉えていた。今後は事業での取り組みとして考え方を転換していく」

―国連の持続可能な開発目標(SDGs)についての取り組み状況を教えて下さい。

「2019年はSDGs元年となった。事業をSDGsにひも付けた。同年8月には統合報告書を発行した。全ての幹部社員を対象に社内講演会を開き、支店での啓発活動にも取り組んでいる。まずSDGsがどんな内容かを周知するために、eラーニングを活用して知識向上にも力を入れている」

―二酸化炭素(CO2)削減などの環境への取り組みは。

「大手ゼネコンやハウスメーカーなどから『パリ協定』をベースとする(国際的な活動の)サイエンス・ベースド・ターゲッツ(SBT)を視野に、目標設定と計画策定を求められている。シャッターの素材や製品販売後のCO2排出量など項目は多岐にわたる。自社内での排出量は把握できているが、川上・川下での排出量はまだ把握できていない。管理部門だけでは対応できないため、工場や購買部門と連携して取り組む」

―目標値の設定はありますか。

「20年度中に目標値を決定する。特にCO2を排出しているのが工場や物流、営業車両だ。シャッターやドアの工場は、加工組み立てがメーンとなるため限界もある。営業車両など、生産工程以外での比重が大きくなるだろう」

日刊工業新聞2020年4月29日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
コロナの脅威一色ですが、台風の大型化など異常気象にどのように備えるかも、国単位、自治単位、企業単位で踏み込んだ議論と具体策が求められています。

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