揺れる東芝「再出発の日」臨時株主総会で陳謝繰り返す
株主の不満爆発「決算報告書はまったく信頼できない」
東芝は30日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で臨時株主総会を開き、室町正志社長が不適切会計問題をめぐり「株主、ステークホルダーの皆さまの信頼を裏切り市場混乱を招いた。深く反省するとともにおわび申し上げる」と陳謝した。問題により有価証券報告書の提出が遅れていた2015年3月期の業績や問題の経緯と対策について報告したほか、取締役計11人のうち過半数の7人を社外から起用する新経営体制などの議案が承認された。
株主からは西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏ら、歴代経営陣の責任や再発防止策などについて質問や意見が相次いだ。室町社長は「企業風土を改善し再発を防止する」とし、「失われた信頼を早期に回復するよう全社一丸となって努める」と繰り返した。
また現・旧役員の責任の有無などを調べる役員責任調査委員会の報告を待って「損害賠償請求訴訟も含め、会社として公正な判断をしたい」と話した。所要時間は過去最長の3時間50分だった。
幕張メッセ(千葉市美浜区)で開いた臨時株主総会。東京駅からJR京葉線で約30分の会場に、1924人の株主が詰めかけた。「株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の皆さまにご迷惑をかけた。また株式市場を混乱させてしまったことを深く反省し、お詫びしたい」。冒頭、室町正志社長は硬い表情で頭を下げた。
その後も室町社長は報告事項の説明、質疑応答などで陳謝の言葉を繰り返した。しかし「頭を下げているだけで、誠意が感じられない」「なぜ都心から離れた幕張メッセが会場なのか。迷惑をかけた株主への配慮がない」。複数の株主が不満を爆発させた。
株主総会は2段階で開くという異例の体制を取った。6月の定時株主総会では、当時の取締役16人の再任を諮り、承認されただけ。その後、一連の問題の全容が明らかになり、最終的に不適切な会計処理のあった09年3月期から14年4―12月期までの過年度決算の訂正額は、税引前損益ベースで2248億円の減額になった。
不適切会計問題と再発防止策について直接説明する初の機会となった臨時株主総会。第三者委員会の報告書を踏まえ、室町社長は不適切会計が発生した要因について「当期利益至上主義や経営トップらによる目標必達のプレッシャー、上司に逆らえない企業風土などがあった」と指摘。さらに「トップらの関与で内部統制機能が無効化された」と説明した。
会場で質問に立ったのは23人。ほぼすべての質問に室町社長が答え、総会の時間は過去最長の3時間50分に及んだ。しかし株主からの信頼回復にはほど遠く、株主からは「決算報告書はまったく信頼できない」「不正を見抜けなかった新日本監査法人を、なぜ使い続けるのか。未だに会計を誤魔化せる相手だと思っているのではないか」と厳しい声が目立った。
一方、「東芝は技術シーズが豊富。新経営陣による立て直しに期待している」と前向きな声も聞かれた。東芝はエネルギーや半導体分野で世界を舞台に戦える高い競争力を持つ。
株主からの責任追求に対し、室町社長は「東芝を一刻も早く正常な姿に戻し、皆さんに誇れる会社にしたい。社員が一丸となって取り組んでいく」と理解を求めた。
株主からは西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏ら、歴代経営陣の責任や再発防止策などについて質問や意見が相次いだ。室町社長は「企業風土を改善し再発を防止する」とし、「失われた信頼を早期に回復するよう全社一丸となって努める」と繰り返した。
また現・旧役員の責任の有無などを調べる役員責任調査委員会の報告を待って「損害賠償請求訴訟も含め、会社として公正な判断をしたい」と話した。所要時間は過去最長の3時間50分だった。
3時間50分−信頼回復…ほど遠く
幕張メッセ(千葉市美浜区)で開いた臨時株主総会。東京駅からJR京葉線で約30分の会場に、1924人の株主が詰めかけた。「株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の皆さまにご迷惑をかけた。また株式市場を混乱させてしまったことを深く反省し、お詫びしたい」。冒頭、室町正志社長は硬い表情で頭を下げた。
その後も室町社長は報告事項の説明、質疑応答などで陳謝の言葉を繰り返した。しかし「頭を下げているだけで、誠意が感じられない」「なぜ都心から離れた幕張メッセが会場なのか。迷惑をかけた株主への配慮がない」。複数の株主が不満を爆発させた。
株主総会は2段階で開くという異例の体制を取った。6月の定時株主総会では、当時の取締役16人の再任を諮り、承認されただけ。その後、一連の問題の全容が明らかになり、最終的に不適切な会計処理のあった09年3月期から14年4―12月期までの過年度決算の訂正額は、税引前損益ベースで2248億円の減額になった。
不適切会計問題と再発防止策について直接説明する初の機会となった臨時株主総会。第三者委員会の報告書を踏まえ、室町社長は不適切会計が発生した要因について「当期利益至上主義や経営トップらによる目標必達のプレッシャー、上司に逆らえない企業風土などがあった」と指摘。さらに「トップらの関与で内部統制機能が無効化された」と説明した。
会場で質問に立ったのは23人。ほぼすべての質問に室町社長が答え、総会の時間は過去最長の3時間50分に及んだ。しかし株主からの信頼回復にはほど遠く、株主からは「決算報告書はまったく信頼できない」「不正を見抜けなかった新日本監査法人を、なぜ使い続けるのか。未だに会計を誤魔化せる相手だと思っているのではないか」と厳しい声が目立った。
一方、「東芝は技術シーズが豊富。新経営陣による立て直しに期待している」と前向きな声も聞かれた。東芝はエネルギーや半導体分野で世界を舞台に戦える高い競争力を持つ。
株主からの責任追求に対し、室町社長は「東芝を一刻も早く正常な姿に戻し、皆さんに誇れる会社にしたい。社員が一丸となって取り組んでいく」と理解を求めた。
日刊工業新聞2015年10月01日 1面&深層断面から一部抜粋