五輪効果、いついつまでも

ISO規格で大会運営管理 認証機関トップに聞く

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「一過性で終わるイベントを、うまく遂行するために活用する規格」と説明する高崎社長
 2020年開催の東京五輪では、イベント運営の持続可能性を対象にした国際標準規格「ISO20121=用語参照」の適用が予定されている。12年のロンドン五輪は同規格を活用し、環境や社会などの問題に配慮した大会として成功。世界の各種イベントで同規格の採用が始まりつつある。同規格の認証機関である日本検査キューエイ(東京都中央区)の高崎誠社長に話を聞いた。
 
 ―ISO20121は、どんな国際規格ですか。
 「今までのISO規格はモノづくりやサービスの継続的な改善という要素があった。ISO20121はイベントの環境に与える影響や安全な運営などのほか、イベント終了後の施設の活用などを考えた内容になっている。一過性で終わるイベントを、うまく遂行するために活用する規格だ。イベント後の結果や、その後の持続する効果という意味で、『レガシー』の重要性も強調している」

 ―ISO14001など環境マネジメントシステムとの違いは。
 「ISO20121はイベントにおける『サステナビリティ』を主眼に置いている。その中に環境や安全、労働、経済などに関する要素が含まれる。つまり、環境マネジメントシステムの一部を取り込んでいる」

 ―同規格のメリットは何でしょうか。
 「イベントを企画し実行する中で考慮しなければいけない環境や社会、経済面などの要素が簡潔に含まれている。中でもイベントを実行する上で原料調達から建設、廃棄物など環境負荷は無視できない課題だ。イベント自体の運営に加え、これらの要素を一体的に管理できる。イベントに関連するステークホルダーやサプライチェーンにもこの取り組みを浸透させることが可能だ」

 ―ISO20121の普及の見通しは。
 「各種スポーツ大会やアミューズメント系のイベントなど、さまざまな催し物での活用を期待している。当社では品質マネジメントシステムを取得しているイベント関連企業数社に認証取得に向けアプローチしている最中だ。東京五輪にかかわる組織だけではなくすべてのイベント関係者にISO20121を推奨していきたい」

【用語】
 ISO20121=イベントを対象にした国際規格。環境や社会、経済の側面からイベントの運営する仕組み作りに持続可能性を求めている。認証取得の対象はイベントそのものや主催者、制作者、施設などに分かれる。12年のロンドン五輪で適用されたが20年の東京五輪でも適用される予定。国内では「世界トライアスロンシリーズ横浜大会」や日本コンベンションサービスが認証取得した。

【記者の目/規格普及の起爆剤に期待】
 ISO20121はイベントの環境だけではなく、社会、経済の側面からも持続可能な中身にすることを意図している。ロンドン五輪で適用されたものの、国内ではなじみが薄くその効果は未知数だ。東京五輪での適用が同規格普及の起爆剤として期待される。認証取得により集客効果やマネジメント力向上などにつながれば、さらに広がる可能性がある。(聞き手=村山茂樹)

日刊工業新聞2015年04月09日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

斉藤陽一
編集局第一産業部
デスク

 五輪後の施設活用の一環で、東京ビッグサイトの展示会場を拡張するプランを以前に取材したことがあります。東京五輪ではビッグサイトの屋外にプレスセンターの建屋が設置される予定で、大会後は耐震補強工事などを施した上で国際会議・展示場として利用するという案です。中国、韓国、タイなどのアジア諸国が相次いで大規模展示場を建設・稼働する中、東京ビッグサイトの面積規模は世界のベスト60にも入っていないのが実情で、以前から展示会業界はビッグサイト拡張を強く求めています。ただ、仮に拡張しても施設稼働率が上がらなければ損失が増す一方となり、ビッグサイト側の反応はむやみな拡張には慎重だったことを覚えています。

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