タンポポからタイヤをつくります。タイヤ各社が代替材料を開発中

天然ゴムの多様化は共通の課題

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新たな天然ゴム資源として研究が進むロシアタンポポ
 タイヤメーカー各社はタイヤに使う天然ゴムや合成ゴムの代替原料の研究を加速している。天然ゴムについては東南アジアの熱帯地域に生息する「パラゴムノキ」に代わり、温帯や乾燥地域で栽培可能な植物の活用を検討。合成ゴムでは石油由来の原料をバイオマス(生物由来資源)から生み出す研究が進む。特定資源への依存度を下げることで、資源の高騰や枯渇リスクを回避。高性能なタイヤを将来にわたり安定して供給できる体制を整える。
 

アジアが9割


 「天然ゴムの原産地はアジアが世界の9割を占める。グローバルにタイヤ製造拠点を拡大している当社にとって、輸送時の環境負荷も考慮すると最適な需給状態とはいえない」。住友ゴム工業の池田育嗣社長はこう強調する。同社はパラゴムノキに代わる天然ゴム資源として、温帯で栽培可能な多年草「ロシアタンポポ」に着目。米ベンチャー企業のカルテヴァット(ミズーリ州)と実用化に向けた共同研究を始めた。

 住友ゴムは、化石資源に由来する原材料の使用比率を下げる研究を00年代初頭から推進。13年11月には100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」を商品化した。一方、カルテヴァットはバイオ燃料などの原料を植物から生成する技術に定評がある。

根に天然ゴム成分含むロシアタンポポ


 ロシアタンポポは根の部分に天然ゴム成分を含む。実用化に向けて加工の効率化が課題となるが、池田社長は「両社の技術を融合することで、実用化を加速させることができる」と自信をみせる。
 
 天然ゴム供給源の多様化は、タイヤメーカー共通の課題だ。最大手のブリヂストンは、すでに12年からロシアタンポポの研究を本格化。さらに14年9月には、乾燥地帯に生息する低木「グアユール」の活用に向けた研究所を米アリゾナ州に完成した。
 

幹に天然ゴム成分含むグアユール


グアユールは主に米国南西部からメキシコ北部を原産地とし、幹の部分などに天然ゴム成分を含む。同研究所では天然ゴムを採取する加工技術の研究開発を推進。20年代にグアユール由来の天然ゴムの実用化を目指す。

 他方、合成ゴムなど石油由来の原材料をバイオマス由来のものに置き換える研究も進む。一般的なタイヤの場合、石油由来の原材料の使用量は重量比で約60%を占める。将来の石油枯渇を想定し、代替原材料の研究に各社が取り組んでいる。

 横浜ゴムは15年7月から9月にかけ、合成ゴム原料のブタジエンやポリイソプレンをバイオマスから合成することに成功したと相次ぎ公表した。両原料とも現在は、石油精製時やナフサを熱分解する際の副産物として工業的に生産しており、新技術により石油依存度を低減できる。
 ブタジエンは東京工業大学、ポリイソプレンは理化学研究所、日本ゼオンとの産学協同で研究を進めてきた。石油の使用を減らすことで、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出削減にも寄与できる。20年代前半の実用化を視野に、量産技術を確立したい考えだ。
(文=斉藤陽一)

日刊工業新聞2015年09月24日 自動車面

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

天然資源なら化石資源を消費しないので環境に配慮していると思ってしまいがちですが、違う場合もあります。タイヤ原料の天然ゴムを採りつくしてしまったり、森林を焼き払ってまで天然ゴムの栽培地ばかり増やすと生態系を乱します。野菜を生産する土地、人が住む場所を奪ってまで天然ゴムを増やす訳にはいきません。天然ゴムはアジアに偏って生息しているため適切に管理をしながら栽培・利用する必要があります。また今後の気候変動の影響で天然ゴムの栽培量が減ることもタイヤメーカーには事業リスクです。合成ゴムにしても化石資源の高騰・枯渇の懸念があり、事業リスクです。

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