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業務用でもロボット掃除機が登場

タイムレコーダー世界シェア4割のアマノがシャープと共同開発
業務用でもロボット掃除機が登場

発売した業務用ロボット掃除機

 アマノは業務用ロボット掃除機をシャープと共同開発し、発売した。掃除現場でタブレット端末(携帯型情報端末)を使いロボットを操作すると、ロボットが周囲を計測し現場地図を自動で作成。同端末で条件設定し、ボタンを押せば自動で最適ルートを自律走行で掃除する。

 アマノの業務用掃除機で培った知見やノウハウと、シャープの生産設備で培った計測技術を組み合わせた。価格は180万円(消費税抜き)。年間販売目標は300台。

アナリストからみたアマノの成長力


日刊工業新聞2015年07月23日付「アナリスト千里眼」より


 産業構造の高度化に伴い、欧米や新興国の間でも時間管理への関心が高まっている。1931年に日本で初めて時刻記録機(タイムレコーダー)を開発。現在は、そのタイムレコーダーの技術を活かし駐車場パーキングシステムのほか、環境関連システムが経営の3本柱。

 ちなみに、駐車場パーキングシステムを含む就業時間管理システム事業(2015年3月期売り上げ比72%)は、さまざまな形で大企業から中小企業までカバーする。特にタイムレコーダーは国内の最大手、世界シェアは約4割を誇る。

 さらに、時間管理技術を応用したパーキングシステムは、道路交通法の改正による違法駐車への規制強化や都市再開発が支援材料となって、年2ケタ前後の伸びを見せており、主力事業(売り上げの約5割)に育ってきた。

 また、環境関連システム事業(売り上げの27%)では、小型集塵機や床面洗浄機でも国内大手メーカーである。

 一方、M&A(買収・合併)を視野に海外もアジア、北米、欧州向けに拡大し、特にドイツやフランスなど、就業管理への意識が高い欧州ではM&Aにより顧客基盤を拡大する。新興国のブラジル、インド進出にも展開中である。

 特に韓国やシンガポールでは駐車場事業や日系企業向けに、総務系の人事・就業システム事業も展開している。

 参考までに15年3月期の海外売上比率は32%(うちアジアが11%、北米13%、欧州7%)。足元の業績は売り上げが14年3月期比8%増、営業利益は同6%増だった。(1)北米事業が不振だったが、期後半に入り為替の効果もあり回復(2)海外でのパーキングシステムが軌道に乗ってきた(3)集塵機や清掃機器などを取り扱う環境関連システム事業は自動車や通信機器の製造工場向けに国内外でも好調に推移した。

 16年3月期も好地合いを引き継ぎ、営業利益は過去最高だった07年3月期の101億円を9期ぶりに更新する見通しにある。なお為替の前提は1ドル=117円、1ユーロ=125円と、為替のメリットも期待できそう。また、1株当たり年間配当金は15年3月期比2円増の40円を計画している。
 <プロフィル>
 証券アナリスト兼IMSアセットマネジメント社長・清水秀和(しみず・ひでかず)氏
 年間約150社を取材し、延べ5000社の取材実績を持つ。成長する技術系製造業の企業発掘を専門としており、身近で分かりやすい解説に定評がある。株式公開予定企業育成の実務経験を生かし、東北大学や日本大学などでベンチャー起業論の講演も多数。
日刊工業新聞2015年09月30日 電機面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
駅の構内やビルなどで人が押す「AMANO」と書かれた業務用掃除機を見たことのある人は多いはず。さすがに人混みの中ではまだ難しいかもしれないが、将来は無人で走行している姿を見られるかもしれない。一方で気になるのはシャープ。最近ロボット関連の話題が増えている。ロボットで再起を図れるか。

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