楽天の強さは価値観や行動指針の明文化にあった!社員共通の判断軸で「らしさ」を醸成

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顧客のリアルな声を知る場「UXリサーチルーム」

楽天は、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことを企業理念に掲げている。理念の具現化に向け、行動指針・思考体系の基盤としているのが「楽天主義」だ。実現しようとする五つの価値観「ブランドコンセプト」に加え、共感度と実現度を高める五つの行動指針「成功のコンセプト」で構成されている。

成功のコンセプトでは、(1)常に改善、常に前進(2)プロフェッショナリズムの徹底(3)仮説→実行→検証→仕組み化(4)顧客満足度の最大化(5)スピード!!スピード!!スピード!!―と提示。こうした考え方がデザイン検証にも反映されており、実物に近い試作品での議論や顧客へのヒアリング、ウェブ上での数値改善などが行われている。

2013年には、インタビュールームと大画面ディスプレーが設置された「UXリサーチルーム」を開設。ユーザーを招き、ウェブサイトやスマホのアプリを使用する様子を観察し、ヒアリングすることで、顧客のリアルな声を集めている。ユーザーリサーチの結果を即座に受け止め、その場で改善プランの検討・議論、意思決定を行い、迅速な形で実行に移す。

新しいウェブサイトやアプリを対象として、ユーザビリティー品質を定性かつ定量的に評価し、基準を下回るサービスは提供しないという厳格なルールも敷いている。この仕組みを導入後、アプリストアで5点満点中、3点以下のアプリは数年で激減した。

楽天市場の出店者にはページ診断サービスやABテストの機能を提供している。消費行動のデータを統計や機械学習で分析。店舗ページのどの部分を閲覧しているかなどを見えるようにする。診断機能とABテストを使い、検証と診断を繰り返し最適なページを作り上げることができる。

16年に開始したこのサービスは現在、年間1000以上の店舗で利用され、ページ改善に成功した店舗を見ると、ネットショップへの訪問客数に対し商品が売れる割合を示す転換率は約53%向上した。企業理念を実現するために価値観や行動指針を明文化することが前提。この共通の判断軸を元にした事業が続くことで、その企業らしさが形成されることになる。

(文=秋山浩一郎・デロイトトーマツベンチャーサポート第4ユニット)

日刊工業新聞2020年4月17日

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