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「建機の変」日立建機、早期退職募集。コマツは北米でレンタル事業強化

中国や新興国市場の不振。影響長引き対策に乗り出す
「建機の変」日立建機、早期退職募集。コマツは北米でレンタル事業強化

新興国で需要が低迷資(コマツの鉱山機械)

 日立建機は29日、早期特別退職者の募集を始めると発表した。国内の全部門から募集し、人数は定めない。中国など新興国での建設機械需要が低迷しているため、国内人員を減らして構造改革に取り組む。応募期間は11月中旬から2016年2月初旬で、1月20日から3月20日の退職日時点で35歳以上の社員または定年後再雇用社員が対象。通常の退職金に加え、特別退職金を支給する。管理職から募集をはじめ、管理職以外の募集方法については労働組合と今後決める。国内のグループ会社でも実施するか検討する。

篠塚久志コマツ取締役インタビュー「適切な需要把握が重要」


 コマツが北米市場で建設機械のレンタルビジネスを拡大している。中国など新興国市場が低迷する中、北米は業績をけん引する頼みの綱と言える地域。建機を所有する傾向が強いが、近年はレンタル需要が高まっている。これに対応し、販売代理店のリスクを抑えるプログラムを提供するなどレンタル事業を強化してきた。篠塚久志取締役常務執行役員に現状と今後の見通しを聞いた。

 ―北米は売上高が順調に伸びている数少ない地域です。
 「期待の星と呼べるのは北米ぐらいだ。2008年のリーマン・ショックの影響で09年に底を迎えたが、10年から伸びている。現在の販売台数はピークだった07年に次ぐ規模だ。シェールガス・オイル開発とそれに伴うインフラ整備の需要が大きい。だが、シェール開発がピークを過ぎようとしており、15年は販売台数が下がるかもしれない」

 ―レンタル需要が高まっている理由は。
 「はっきりとは分からない。もともと米国は中古車市場が確立しており、レンタルよりも所有が多い。シェール開発では複数の場所にリグを立てるので、レンタルのほうが向いているからではないか。13年からは、レンタル強化のプログラムに取り組んでいる」

 ―どのような内容ですか。
 「販売代理店の建機を当社が保証した一定金額で買い取る仕組みだ。代理店は中古車をできるだけ高く売りたい。一定金額で売れるため、リスクを抑えられる。一定金額より高く売れるなら、当社以外に売っても良い」

 ―5―6年ではなく、2―3年と早めに買い取るケースを増やそうとしていますが、狙いは。
 「新車と中古車の間の新しい層を生み出す。中古車でも機械は若いから、ほぼ新車並みの価格で買ってもらえる。代理店には3年で売った方が良いのではと勧めているが、決めるのは代理店だ。いまは市場が堅調で高く売れるので、当社に売っているケースはほとんどない」

 ―4―6月期はレンタル実績が落ち込みました。今後のレンタル需要の見通しは。
 「レンタルの台数は数年前よりも増えている。ただ、シェールの新規プロジェクトの開発ペースが鈍っている。それに伴ってレンタル比率が下がっているのかどうかだ。それを見極めないで台数を増やすと、代理店の在庫を増やすことになる。数年後には一定金額で買うと保証しているため、我々のリスクになる。適正な台数がどのあたりにあるのか見極めている」

 【記者の目/買い取り保証が負担にも】
 北米のレンタルビジネスは順調に伸びてきたが、今後の需要予測が難しくなっている。需要が落ち込めば、市場に出回る台数が過剰になる。買い取り金額保証プログラムが負担になる可能性もある。レンタル需要の先行きを読み、適切な台数を市場に供給していけるか。腕の見せ所となる。
(聞き手=戸村智幸)
日刊工業新聞2015年09月30日 3面&機械面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
私の地元でもあり、コマツの企業城下町である小松市では9月に入って協力会社への仕事量ががくっと減っているという。

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