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日本電産の呉副社長が突然の辞任。有力候補が去り次期社長レースさらに混沌

「実績を上げた人にバトンを渡したい」(永守重信会長兼社長)
日本電産の呉副社長が突然の辞任。有力候補が去り次期社長レースさらに混沌

永守会長兼社長(左)と呉氏

  日本電産は28日、代表取締役副社長執行役員の呉文精(くれ・ぶんせい)氏(59)が30日付で辞任すると発表した。呉氏はカルソニックカンセイ社長だった2013年に日本電産に移籍し、車載事業や家電産業事業などを統括。次期社長の有力候補と目されていた。辞任理由は一身上の都合としている。

 同社の永守重信会長兼社長は自らの後任候補について「実績を上げた人にバトンを渡したい」と話し、車載や家電産業向けで業績を上げてきた呉氏が最有力視されてきた。そのため、呉氏の辞任が次期社長レースに影響するのは必至だ。同社は6月に最高執行責任者(COO)から呉氏を外し、後任は置いていないが、今回の辞任とは無関係としている。

 呉氏が担当する家電産業事業本部統括などは、日産自動車出身の佐藤明副社長(60)が引き継ぎ、車載事業統括は後任を置かず、車載事業本部長で、三菱自動車出身の早舩一弥専務(55)が事実上受け持つ。代表取締役は永守会長兼社長と、生え抜きの小部博志副会長(66)、シャープ出身の片山幹雄副会長(57)の3人体制となるが、後任候補は大きく広がると見られる。

 また、同社は10月1日付で生産技術研究所を本社内に新設。研究所長に東京大学の前田正史教授(63)を招聘(しょうへい)した。同研究所は16年にも建設する予定で、現在は建設場所を選定中としている。
日刊工業新聞2015年09月29日 3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本電産ではよくあることなので大してサプライズはない。COOを外れた時点でこの日が来ることを想定していた人も多い。永守さんは生涯現役でやるつもりだろう。だからじっくり後継は決めればいい。生え抜きの若手になるのではないか。

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