【新型コロナ】本当は有償だけど…オンライン授業、著作物使用初年度0円に

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授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS=サートラス)は、情報通信技術(ICT)による授業で他人の著作物を使用した場合の「補償金制度」について、4月内の立ち上げを決めた。初年度に当たる2020年度は補償金を0円とする。現状では各著作者の使用許諾が必要で、これを不要とする新制度は、補償金額の設定を含め約1年後が法的期限だった。新型コロナウイルス対応でオンライン授業が急増する中、前倒しで支援する。

教材で使う書籍や写真など他人の著作物は、教室内や他キャンパスへの同時通信では、著作権者の許諾なしに無償で使える。一方、ICT利用の異時通信では拡散しやすいため有償だ。学校法人などが唯一の文化庁指定管理団体、SARTRASに補償金を払い、著作権者に資金配分することになり、教育関係者などとの議論・調整が進んでいた。

SARTRASは今回、文化庁の要請を機に新制度発足と、本年度のみの特例の0円設定を決めた。土肥一史理事長は「有償の仕組みの周知が進む中で、まず0円で取り組み、皆でよい制度に育てたい」と述べた。

日刊工業新聞2020年4月9日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

「学校教育での教材なら、著作権の使用料は不要」との誤解が少なくない中で、ICT利用時の著作権の補償金徴収はここ数年の課題だった。音楽著作権の裁判ニュースで分かるように、著作権者側は払ってほしい(それも高く)、音楽教室など利用者側は払いたくない(どうしてもならなるべく安く)というのはなかなか、埋めがたい溝だからだ。今回の「制度をまずスタート、初年度0円、次年度から適正金額で」という展開は、対立しがちな双方、つまりSARTRASと大学など学校側の間をスムーズに橋渡しするものか、どうか。「はい、補償金額は学生1人・1年当たり▽円で」「えええっ、▽円?! そんなの仕組みだって知らなかった」と大騒ぎになる形を、防ぐという意味ではよい展開だろう。「初年度0円」をコミュニケーションのツールとして生かしてほしい。

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