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米空軍「KC-46A」空中給油装置付きで初飛行に成功

日本の防衛省も16年度から導入する新型空中給油機にKC-46A選ぶ
米空軍「KC-46A」空中給油装置付きで初飛行に成功

初飛行に成功したKC-46A

 ボーイングは現地時間9月25日(日本時間26日)、米空軍向けKC-46A空中給油・輸送機の初飛行に成功したと発表した。空中給油装置を装備した機体の初飛行で、今後は空中給油試験などを実施する。

 KC-46Aは旅客機の767-200型機を母機とし、2014年12月28日に空中給油装置を装備していない「767-2C」と呼ばれる試験機の初号機(EMD-1)が初飛行に成功。すでに150飛行時間以上の試験を実施している。

 今回のフライトは米空軍と共同で、シアトルにあるボーイングの施設で実施。ペイン・フィールドを午後1時24分(現地時間)に離陸し、4時間後にボーイング・フィールドに着陸した。ボーイングのテストパイロットは、エンジンやフライトコントロールと環境関連のシステムについて動作確認を実施し、最高高度は3万5000フィート(1万668メートル)に達した。

 給油方式は、米空軍機が採用するフライングブーム方式のほか、米海軍・海兵隊機のプローブ・アンド・ドローグ方式の2形式に対応。ブームはフライ・バイ・ワイヤ方式の最新型で、給油オペレーター席には24インチの高解像度3Dディスプレイが備えられる。また、前部胴体上部には自らブーム方式で給油を受けられる給油口を備える。

 空中給油装置を装備状態で初飛行に成功したことにより、年末までに米空軍機への空中給油試験を始める。一方、地上での貨物積載試験は最近完了している。

 ボーイングは2011年に米空軍と締結した次世代空中給油機の設計・開発契約に基づき、767-2Cを2機とKC-46Aを2機の試験機4機を製造。コックピットは787と同様15インチ・ディスプレイを装備し、乗員は4人から15人としている。エンジンは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製PW4062を搭載する。最大離陸重量は41万5000ポンド、搭載燃料は21万2299ポンド。

 767-2Cは輸送機として、KC-46Aは空中給油機として全装備を搭載して、それぞれフライトテストを実施。KC-46Aのフライトテストは、FAA(米国連邦航空局)と軍からの認証取得プロセスの一環として行う。

 米空軍へは、2017年までに第1次分となる18機のKC-46Aが引き渡される予定。2027年までに、179機の製造を終える計画となっている。日本の防衛省も、航空自衛隊が2016年度から導入する新型空中給油機に、KC-46Aを選定する意向を固めた。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
ボーイング767-200を母機とする米空軍のKC-46A空中給油・輸送機が初飛行に成功。昨年12月は空中給油装置を装備していない767-2Cが初飛行しましたが、今回は空中給油装置を装備した機体です。

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