【新型コロナ】緊急事態宣言による経済損失は6兆円以上?
緊急事態宣言の発令が6日決まったが、シンクタンクからは発令に伴う経済損失を試算するレポートの発表が数日前から相次いでいた。実際に発令される7都道府県よりも対象範囲を狭く想定しながらも損失額は6兆円を超えるとの試算もある。
日本経済研究センターの西岡慎一主任研究員は3日、「仮に、東京都で1カ月間の緊急事態宣言が発令された場合、1.6~2.5兆円(GDP比0.3~0.5%)の経済損失が生じる試算となる。東京都だけでなく、大阪府やこれらの隣接県も宣言の対象となった場合、損失額は3.9~6.2兆円(GDP比0.7~1.1%)となる」と報告している。ただ、「この試算は、不要不急の消費手控えによる損失を前提としている。仮に、緊急事態宣言が家計の所得を大きく悪化させると、消費減少は必需品にも広がる恐れがあり、経済損失はより膨らむと考えられる」と損失額の拡大も示唆する。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋 康次チーフエコノミストと 鈴木 智也研究員は3日付けのレポートで「緊急事態宣言の対象に東京都および近接する4県(埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県)が指定されたとすると、その県内総生産は185.5兆円1と国内総生産の33.7%を占める」と指摘。その上で、「従前、安倍首相は、緊急事態宣言による外出自粛の要請期間を「21日程度」と発言していた。従って、この期間を自粛が強まる期間と想定すれば、国内総生産は約2.8兆円、年間0.51%程度が減少する計算となる」と分析している。
6日に示された発令の対象は東京のほか、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の6府県。実施期間も1カ月程度となっている。いずれの試算よりも対象地域は多く、緊急事態宣言とともに、打ち出される経済対策の実効性が問われることになる。
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