ソニー、東レ、リコー、「二国間クレジット制度」で海外工場を省エネ化

国のCO2削減量はわずかでも、民間企業には大きな削減効果

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リコーのベトナム工場
 ソニーや東レ、リコーが「二国間クレジット制度(JCM、用語参照)」を活用して海外工場の省エネルギー投資を実施する。ソニーはタイの半導体工場に省エネ型冷凍機を導入する。東レもタイ工場の織機を最新型に入れ替える。これまでJCMは二酸化炭素(CO2)の排出削減量が大きいインフラ整備事業が多かった。工場を対象とすると規模は小さいが、企業には海外工場の設備投資の動機付けとなっている。

 3社の省エネ投資は環境省のJCM設備補助事業に採択された。投資額の半分を補助してもらえる。ソニーはクリーンルームに設置する冷凍機と空気圧縮機に補助金を充てる。2011年のタイ洪水で被災した半導体工場の再稼働に向けて16年2月までに工事を完了させる。設備投資で年644トンのCO2削減を見込む。

 東レは空気で糸を飛ばしながら織物を作るエアジェット織機を入れ替える。空気消費量を20%低減した新型機への更新でタイ工場は年646トンのCO2削減を計画する。

 リコーはベトナムのレンズ工場の空調設備を15年度から3年かけて更新する。空調は工場全体の消費エネルギーの30%を占めるが、老朽化していた。想定削減量は年161トン。

 ソニーは途上国の工場の省エネ意識向上とともに、高効率設備導入の障壁であるコスト負担を和らげる狙いでJCMを活用。東レもCO2削減とコスト競争力強化を狙う。リコーも海外工場のCO2削減策としてJCMを活用する。

 温暖化の国際交渉で日本政府が推進するJCMは、日本の技術で削減した途上国のCO2を日本の削減目標に加える。水力や地熱発電所の建設計画は1件当たり年8万―9万トンのCO2削減を見込む。森林保全も10万トンを超える。だが、規模が大きいほど相手国との調整が多く、進展が遅い。工場の省エネ投資は企業のグループ内なので実施しやすい。
 【用語】
二国間クレジット制度=JCM。日本の技術で途上国のCO2排出量を削減し、創出したクレジットを日本の削減量に換算する。クレジットは排出削減量。現状でも他の場所の削減事業で創出したクレジットの購入者は自らの削減量に換算できる制度がある。JCMは相手国と合意して実施する。

日刊工業新聞2015年09月28日 素材・ヘルスケア・環境面

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

京都議定書でも二酸化炭素排出量を取引する国際的な制度があります(CDM)。日本政府は海外で削減された約1億トンのCO2をクレジットとして取得しています。CDMは国連で決めたルールに従う必要があり、手続きなどに時間がかかります。日本が提唱する二国間クレジット制度(JCM)は相手国との約束であるので使い勝手が良いようです。しかも日本の技術の輸出を前提としているので、産業界にもメリットがあります。ソニーなどの取り組みは自社の省エネ対策にもなるため、さらにメリットが高まります。

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